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平成30年度千葉大学入学式 学長告辞

掲載日:2018/04/12

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。また、新入生のご家族の皆様に心よりお慶びを申し上げます。そして本日ここに、教職員をはじめご来賓の方々とともに、平成30年度千葉大学入学式を挙行できますことをまことに嬉しく思います。

 この春は、新入生の皆さんにとって格別のものであり、まさに人生の大きな一歩となることと思います。千葉大学が、皆さんの抱いている志や夢の広がりに向けた「学びの場」となることを願っています。そして、全ての教職員は、皆さんの目標達成に向けた努力を喜んでサポートし、そのことを誇りとしています。

 皆さんが入学した千葉大学は、昭和24年に5学部からなる新制国立大学として発足し、今年で創立69年を迎えています。この間に千葉大学は、その組織を拡充し、現在では10学部と13の大学院を有する大規模総合大学となっています。千葉県下にある4か所のキャンパスでは、海外から約1,400名の留学生を含む14,000名の学生が学んでいます。これまでの卒業生・修了生の数は、15万人を超え、その多くが日本のみならず世界各国で活躍しています。新入生の皆さんが、このような歴史と伝統ある千葉大学で学ぶことにより、本学の理念とする「つねに、より高きものをめざして」、明日の世界をリードする人材へと大きく成長されることを心から期待しています。

 世界に目を向けますと、情報通信技術とともに人工知能やロボット技術などの発達により、社会構造ばかりでなく産業構造の変化が急速に進んでいます。また、中国やインドを筆頭としたアジア諸国の経済的発展が加速し、あらゆる分野で国際競争が激化しています。我が国では、これまで人類が経験したことのない超高齢化社会を迎えており、国家財政の慢性的な赤字体質、社会保障や経済・外交のあり方、さらにエネルギー政策や災害への備えなど喫緊の課題が山積しています。我が国が、これらの課題を乗り越え、世界の国々とともに持続的に発展するためには、創造的で活力のある若手人材の育成が急務となっています。特に、社会構造や産業構造の変化が加速している国際社会にあっては、創造的で指導力があるばかりでなく、人工知能に代表される新産業技術の進歩を理解し、豊かな語学力・コミュニケーション能力を身に付けた若手人材の育成が強く望まれています。

 千葉大学では、このような国際社会に対応したリーダーの育成に向けて、英語によるコミュニケーション能力向上のための教育カリキュラムを充実させるとともに、皆さんが幅広い視野で学べるように、総合大学としての特色を生かした数多くの授業科目を開講しています。さらに、アカデミック・リンク・センターを設置して、皆さんがアクティブに学ぶ環境を整備しています。新入生の皆さんは、国際的に活躍できる創造的なリーダー養成に向けた教育環境が整っている千葉大学を「学びの場」として、国際社会で活躍するために必要とされる能力を高めるとともに、自己の存在を世界の中で捉えることができるようになってほしいと願っています。

 さらに将来社会のリーダーとなる皆さんには、この「学びの場」で専門分野の学問を修得するとともに、人格の修養に向けて知性と教養を磨き高めていただきたいと思います。知性は、物事の本質を知り創造的に考える知的能力であり、これまで皆さんが高めてきた知的能力である知能とは異なります。知能は、人工知能に代表されるように「答えのある問い」に素早くその答えを見つけだす知的能力であり、学修や訓練により高まります。知性は、これまで学んだ知識や経験から未知の物事を創造する能力であり、「答えのない問い」に対して最善の答えを見つけようとする努力により磨かれ深まっていきます。ですから千葉大学では、「答えのない問い」や「正解が一つではない問い」に対して積極的に立ち向かい、自分にとって最善の答えを見つけ出そうと努力してください。その努力の過程で皆さんの知性が磨かれます。

 また、教養を高めるということは、単に知識が豊かになるというだけでなく、状況に合わせて柔軟な思考や多様性に富む発想が出来るようになることです。教養を高めるためには、千葉大学で開講されている豊富な授業科目の中から皆さんの希望にそった科目を選択し学修するだけでなく、海外に出て異文化を現地で体験することをお勧めします。千葉大学では多彩な留学プログラムを準備して、皆さんが自分に適したプログラムで海外留学を体験し、グローバルな視点で教養を高めることが出来るように応援しています。

 こうした千葉大学での学修活動をとおして知性と教養を磨き高めるとともに、皆さんには将来に向けた皆さん自身の夢を描いてほしいと願っています。夢は憧れとは異なり、その実現の可能性を信じることが出来、かつ、その実現に向けて努力しようとして初めて夢と言えるのではないでしょうか。そのような実現性の高い夢を描くために一番重要な点は、皆さんが自身に内在する才能に気づくことです。そして、その才能に基づいた独自の夢を描いてほしいと思います。そこで皆さんには、千葉大学を「学びの場」としてだけではなく、皆さんの中に備わっている才能を見つけだすための「探求の場」としていただきたいと思います。

 私たちの祖先が約20万年前にアフリカで誕生したときに、他の生物とは比較にならないほど高い知能を持つことになりました。私たちホモ・サピエンス種は、この先天的に備わった高度な知能を日常生活に活用し、その経験から得られた知識を教育により次代へ継承し、今日の繁栄を築いてきました。同時に20万年に及ぶ進化の過程で、私たちの染色体遺伝子に突然変異が導入されてきました。その結果、現在の私たちは、ホモ・サピエンス種としての高い知能とともに、一人一人が異なる遺伝子変異を受け継いでおり、その遺伝子変異に由来する何らかの才能を持つことになりました。しかし、ほとんどの人は、自分の才能に気づかず、またその才能を発揮する機会のないまま過ごしています。

 皆さんの才能は、皆さんが面白そうだと感じたことに積極的に取り組む過程で、仲間から指摘されたり、自ら気付いたりするでしょう。ですから、まずは興味をもったことに、失敗を恐れず積極的にチャレンジするようにしてください。その結果、途中で興味を失って、そのチャレンジを止めてもかまいません。そのような経験は、皆さんが自分自身の才能を見極める意味で、決して無駄にはならないからです。またチャレンジの過程で進路に迷ったら、自分にとってより困難だと思われる道を選択してください。そうすればチャレンジの結果がどのようなものであれ、新たな自己の才能に気付く機会が増えるとともに、その経験のひとつひとつが、将来皆さんの価値判断の基準となるでしょう。このように千葉大学で行う様々なチャレンジは、失敗さえも自己探求のための学びとなります。ただし、チャレンジをするときには、道徳や社会規範の遵守とともに、学生としての本分を逸脱するようなことは決して行わないようにしてください。

 このように新入生の皆さんにエールを送る私も、今から50年前には皆さんと同じ千葉大学の入学式に参列していました。そのときに私は、高校までの私を知る人がいない新転地では、これまでの自分の殻を打ち破るチャンスだと思いました。そこで入学と同時に、それまでの内向的な自分とは異なる人格の形成を目指して、何事にも前向きにアクティブに行動するように心がけました。その自己改革チャレンジの結果、自分では気付かなかった長所や適性を自覚できるようになりました。その大学時代の経験から私は皆さんに、自分の殻から一歩外へ踏み出す勇気を持つことにより人生は大きく変ってくることを、自信をもってお伝えします。新入生の皆さん、今がチャンスです。千葉大学では勇気を持って自分の殻を打ち破ってみてください。そして、千葉大学におけるアクティブな活動の中から皆さん自身の持つ才能を見つけ出し、その才能を基に確固たる人生を送ることができるような独自の夢を描き、その夢を広げるように努力してください。

 未来の明るい社会をつくり出してゆく皆さんが、千葉大学における「学びの場」で人格の修養に向けて知性と教養を磨き高めるとともに、「探求の場」で新しい自己の才能に気づき、その才能に基づく形で生涯にわたる夢が描けることを願っています。そして千葉大学は、皆さんの精神的成長と夢の広がりに向けて最大限の支援をすることをお約束して告辞といたします。

平成30年4月5日
千葉大学長 徳久 剛史