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平成29年度千葉大学卒業式 学長告辞

掲載日:2018/03/30

  卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。これまで千葉大学で学び、努力と研鑽を積んで来られた皆さんに対して、教職員を代表し、心よりお祝い申し上げます。そして、これまで長年にわたり皆さんを支えて来られた、ご家族や関係される皆様に、お慶びを申し上げます。

  卒業生の皆さんは、この千葉大学の教育目標にそって勉学に励まれ、ご自身の専門性を磨かれ、精神的にも大きく成長されたことと思います。また、課外活動などを通じ様々な経験をされ、たくさんの友人や楽しい思い出を作られたことでしょう。教職員一同も、皆さんと共に過ごすことができた日々を誇りに思っています。そして皆さんは、本日晴れて学士の学位を取得され、これから進むべき道に、夢と希望を膨らませていることと思います。

  皆さんは、これから進むべき道でリーダーとしての活躍が期待されています。卒業されてからも、千葉大学で学び培ったことを基にして、更なる精神的成長を目指すとともに、社会のリーダーとして、皆さんの描く夢を実現してほしいと願っています。しかし、皆さんが活躍しようとする社会は、科学技術などの進歩により大きく変化してきています。特に最近では、人工知能・AIが著しく進化しており、一部の分野ではすでにヒトを凌駕する高い知能を持つようになっています。そのため近い将来、AIに取って代わられる職業なども話題にされ始めています。同時にAIの進化が、新たな学問分野や職業を生み出していくことも間違いないでしょう。このように、人口知能・AIの進化は、これから皆さんが活躍しようとする社会の価値観や産業構造を大きく変えることでしょう。

  さらに世界では、中国やインドなどに代表されるアジアの国々の急速な経済的発展により、国際競争が著しく激化してきています。一方では、民族紛争に起因する難民問題ばかりでなく、地球規模での環境汚染や新興感染症などへの対応が急務となっています。そのため欧米諸国では、自国の利害のみを強調するような政策を推し進める、ポピュリズム的政治家や政党の台頭が見られています。また日本の社会は、これまでに人類が経験したことのない少子高齢化時代となり、労働人口の減少や高齢者対策ばかりでなく、経済・財政の再建、地方創成やエネルギー問題、自然災害への備えなど、喫緊の課題が山積しています。

  このような先の見通せない時代のリーダーには、日本ばかりでなく広く世界の国々の文化、社会システム、生活習慣や歴史を理解するとともに、深い知性とその知性に裏打ちされた豊かな人間力を備えていることが強く求められます。私は4年前の入学式の時皆さんに、千葉大学では何事にも失敗を恐れず積極的に「チャレンジ」してほしいことや、もし選択に迷ったら「自分にとって困難だと思われる方」を選択してくださいと御願いしました。その理由は、チャレンジすれば必ず乗り越えなければならない課題が出てくるとともに、その課題を乗り越えるための努力をする過程で、皆さんの「知性」が磨かれ深まっていくからです。

  「創造的に考える能力」である「知性」は、様々な試練の中で納得できる解答を見つけようとする努力によって磨かれます。これから皆さんが社会に出れば、自分の夢の実現に向けて、様々な課題を乗り越えていくことになるでしょう。その過程で、必ず試練と向き合うことになると思います。その試練を乗り越えようとするときには、決して安易な解決策を選択することなく問い続け、その時点でベストの解決策を見出す努力を続けてください。結果として、皆さんの知性が磨かれていくでしょう。このようにして磨き抜かれた知性に基づく豊かな人間力を発揮して、新しい世界をリードしていかれることを切望しています。

  さらに、新しい世界のリーダーに必要とされる人間力には、磨き抜かれた知性の他に、他者との関係を円滑にする能力なども重要な要素となります。このような社会的能力の育成に向けて、私が日ごろから大切にしている努力目標をお伝えします。それは、「誠実」と「思いやり」です。新しい世界のリーダーとして活躍していくには、仲間の助けが大きな力になるでしょう。そのような仲間との信頼関係を築くためにも、何ごとにも「誠実」であってほしいと思います。また、他者に対して「思いやり」の心を持ち続けることも大切です。これから皆さんの社会的地位が高くなればなるほど、相手を思いやる心の大切さも大きくなってきます。この「誠実」と「思いやり」が、周りからの信頼を得ることに繋がり、結果として皆さんのリーダーとしての活躍を強く支えてくれるでしょう。

  これまで、皆さんの大学生活を支援してくれた教職員も、これからの皆さんの活躍を大いに期待しています。そして千葉大学は、これからも皆さんを応援し続けます。皆さんには是非、千葉大学の同窓生として、千葉大学を、そして後に続く後輩たちを、応援していただきますようお願い致します。

  最後に、卒業生の皆さんが、千葉大学で学んだことに自信と誇りを持って大きく飛躍し、未来の明るい社会をつくり出してゆくリーダーとして、多方面で活躍されることを心より祈念するとともに、私が日ごろから大切にしている座右の銘を、「はなむけ」として贈ります。仏教の教えの一つである「諸行無常」です。世の中の全ては常に変化しており、永久不変なものは何もないという教えです。

  私は、これまでの人生において、苦境に置かれた時ばかりでなく、希望が叶って喜びに満ち溢れた時などには、この教えを必ず思い出すようにしてきました。皆さんが、社会でリーダーシップを発揮していく時には、決して順風満帆の時ばかりではありません。諸行は無常であり、同じ状況は決して続かないのです。特に、辛く困難な状況に置かれときには、この教えを思い出して、次には必ず素晴らしい時が来ると信じて、その困難に耐えて頑張ってください。

  「困難は決して続かない」、「勇気をもって立ち向かえ」。

  本日は、ご卒業誠におめでとうございます。

平成30年3月23日
千葉大学長 徳久剛史