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平成29年度 千葉大学卒業式 答辞

掲載日:2018/03/30

  本日は、諸先生方ならびに来賓各位のご臨席を賜り、このような盛大な卒業式を催して頂いたことに、卒業生一同、心より厚く御礼申し上げます。

  私たちは四年前あるいは六年前に、ここポートアリーナで千葉大学の一員として新しく踏み出しました。一年間の浪人生活を経た私は、不安を抱きながらも「友人をたくさんつくり、学問に本腰を入れた大学生活にしたい」という期待を胸に、入学式に参列したことが、つい先日のことのように思い出されます。

  卒業を迎えた今、千葉大学で過ごした日々を振り返りますと、二つの留学経験が思い出されます。ひとつめは、二年生のときに熱帯農業を学びにタイ・カセサート大学で一年間の交換留学に挑戦したことです。常夏の国タイでの留学生活では、日本人とは全く異なる様々な文化的、宗教的背景を持った友人に恵まれ、それまで自分が当たり前だと思っていた常識や考え方が良い意味で壊されたとともに、自身の将来について深く考える機会を与えてくれました。また、農家出身ではない私は、現地農家での一か月間の職業経験を経て、それまで理想だと考えていた自給自足的な農業が現実的ではないことや、店先に無造作に並べてある農作物も、実は単純で地味な作業の連続が積み重なった結晶であることに気付かされました。ふたつめは、卒業研究のために留学したドイツ・ゲッティンゲン大学です。EUのなかでも酪農大国であるドイツで、私は多くの牧場を訪問したのですが、それまで研究室で統計データや資料を基に立てた仮説が、なかなか検証できず、かなりもどかしい思いをしました。しかし、留学先の先生や学生仲間と交流を深めるうちに、その土地の文化的背景や自分自身を客観的に捉える包括力が自分には欠けていたことに気付かされたのです。調査は一筋縄ではいかない、けれども困難を乗り越えた先には、物事の本質に近づくことへの楽しみがあることを知り、研究の醍醐味を味わうことができました。

 こうした二つの大きな留学体験を経て、徐々に私の中で、「将来、農村コミュニティの外の視点から、農業に役に立つ情報を発信して行きたい」という意思が芽生えました。そして、四月からは農業メディアの仕事に携わることになりました。こうした貴重な経験も、国際化に力を入れている千葉大学に入学できたからだと感謝しております。

  こうして卒業という事実に対峙すると、私の地元徳島県鳴門市で活躍されている画家、ウロ四宮氏の言葉が思い出されます。「熟考を重ねた末に、この色だと思う色を使う。全力で決めた色だから、その成果の良し悪しを判断できる。人生も同じ。全力で下した一瞬一瞬の決断が点と点で結ばれ今の自分を作っている。」

  私が農業メディアの仕事に興味を持ち、将来、より専門性を高めるために、海外の大学院で学び直したいという思いが持てたことも、この四年間を全力で生きて来たからかも知れません。四月から始まる社会人生活でも、この千葉大学で得た学びを糧に、「人生」という新たな軌跡を描いていきたいと思います。

  いま、私たちは、グローバル化が急速に進み、世の趨勢を見極めることが難しい世の中に生きています。四月から一人一人の進む道は異なりますが、多様な視点で物事を捉え、個々の専門性を持つ千葉大生であれば、つねに、より高きものをめざす精神で、山積する問題を解決できると感じています。

  最後になりますが、今日までご指導、ご支援して頂いた諸先生方、職員の皆様、互いに切磋琢磨し合った学友、そして何より、どんな時も一番近くで支えてくれた家族に、心より御礼申し上げます。本日ご臨席して頂きました皆様方のご健康と千葉大学の更なる発展をお祈りし、答辞とさせていただきます。

平成30年3月23日
卒業生・修了生代表
園芸学部食料資源経済学科
宮浦晃希