ニュース・イベント情報
Topics

平成31年度千葉大学入学式 学長告辞

掲載日:2019/04/10

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、ご臨席いただきましたご来賓の皆様にお礼を申し上げますとともに、新入生のご家族や関係者の皆様に、心よりお慶びを申し上げます。この春は、新入生の皆さんにとって、人生の大きな節目となることと思います。千葉大学が、皆さんの抱いている志や夢の広がりに向けた学びの場となることを強く願っています。そして、全ての教職員や先輩達は、皆さんの目標達成に協働できることを喜びとし、誇りとしています。

 皆さんが入学した千葉大学は、明治5年に設立された印旛官員共立学舎や共立病院を前身として、昭和24年に学芸学部、工芸学部、園芸学部、医学部、薬学部の5学部からなる新制国立大学として発足し、今年で創立70年を迎えています。この間に千葉大学は、平成16年に国立大学法人へと機構改革が行われ、平成28年には国際教養学部を新設し、現在では10の学部と13の大学院の他に多くの教育研究センターを有する総合大学となっています。千葉県下にある4か所のキャンパスでは、海外から約1,400名の留学生を含む14,000名の学生が学んでいます。これまでの卒業生・修了生の数は、15万人を超え、その多くが日本のみならず世界各国で活躍しています。

 新入生の皆さんが、このような歴史と伝統ある千葉大学で学ぶことにより、将来は本学の理念とする「つねに、より高きものをめざして」、高度な専門知識と倫理観を基礎に、自ら考え行動し、社会の様々な分野においてリーダーとなるグローバル人材へと大きく成長されることを期待しています。

 世皆さんが将来活躍しようとする社会は、情報通信技術とともに人工知能やロボット技術などの発達により、産業構造の変化が急速に進んでいます。また、中国やインドを筆頭としたアジア諸国の経済的発展が加速し、あらゆる分野で国際競争が激化しています。そのため米国やロシアなどの大国は自国の利益のみを追求する姿勢を強めており、ヨーロッパではイギリスのEUからの離脱やポピュリズム政党の勢力拡大など、これまでの社会構造や価値観が大きく変化してきています。

 我が国では、65歳以上の高齢者が人口の25%を超え、人類が経験したことの無い超高齢化社会を迎えており、国家財政の慢性的な赤字体質、社会保障や経済・外交のあり方、さらにエネルギー政策や災害への備えなど喫緊の課題が山積しています。そのため日本が、これらの課題を乗り越え、世界の国々とともに持続的に発展していくには、創造的で行動力のある若手人材の育成が急務となっています。特に、社会構造や産業構造の変化が加速している国際社会にあっては、多様な価値観と人工知能に代表される新産業技術の進歩を理解し、創造的な発想力や柔軟な思考力とともに豊かな語学力・コミュニケーション能力を身に付けた若手人材の育成が強く望まれています。

 千葉大学では、このような国際社会の変化に対応できる能力を身に付けたグローバル人材の育成に向けて、英語によるコミュニケーション能力向上のための教育カリキュラムを充実させています。さらに、総合大学としての特色を生かした多様な授業科目を多数開講するとともに、アカデミック・リンク・センターを設置して学生たちがアクティブに学ぶ環境を整備しています。また、グローバル人材育成に特化した国際教養学部の開設や多彩な留学プログラムの開発とともに、海外の17か所に留学拠点を設置しています。新入生の皆さんは、国際的に活躍するリーダー養成に向けた教育環境が整っている千葉大学を学びの場として、国際社会で活躍するために必要とされる能力を高めるとともに、自己の存在を世界の中で捉えることができるようになってほしいと願っています。

 この学びの場ではまた、国際的に活躍するリーダーに必要とされる知性と教養を高めていただきたいと思います。知性は、物事の本質を知り創造的に考える知的能力であり、皆さんがこれまで努力をして高めてきた知的能力である知能とは異なります。知能は、人工知能に代表されるように「答えのある問い」に素早くその答えを見つけだす知的能力であり、学修や訓練により高まります。しかし知性は、未知の物事を創造する知的能力なので、これまでの知能を高めるための学修や訓練だけでは高まりません。知性は、「答えのない問い」に対して最善の答えを見つけようとする努力により磨かれます。これから皆さんが千葉大学で扱う課題の多くは、「正解の無い問い」や「正解が見つかっていない問い」となります。ですから千葉大学では、この様な「正解の無い問い」に対して、これまで学んだ知識や経験を生かして、自分にとって最善の答えを見つける努力を続けることにより、皆さんの知性を磨いてほしいと願っています。

 また、教養を高めるということは、単に知識が豊かになるというだけでなく、状況に合わせて柔軟な思考や多様性に富む発想が出来るようになるということです。教養を高めるためには、千葉大学で開講されている豊富な授業科目の中から皆さんの希望にそった科目を選択し学修するだけでなく、世界の文化・芸術を探究してみることや、海外留学して異文化を現地で体験することをお勧めします。千葉大学では、多彩な留学プログラムを準備して、皆さんがグローバルな視点で教養を高めることが出来るように応援しています。

 さらに皆さんには、千葉大学という学びの場での活動を通して、皆さん自身に内在する才能に気付いてほしいと思っています。皆さんは、ヒトとしての高い知能とともに、物事を巧みに成し得るための生まれつきの能力である才能を持っています。しかし、ほとんどの人は自分の才能に気付かず、またその才能を発揮する機会のないまま過ごしています。その理由は、皆さんに内在するのは才能の芽だからです。皆さんには、この学びの場でご自身の才能の芽に気付いて、その芽を伸ばそうと努力を続けることにより、才能を開花させてほしいと思います。そして、その才能に基づく形で将来の夢を描いてほしいと望んでいます。

 皆さんの才能は、皆さんが面白そうだと感じたことに積極的に取り組む過程で、仲間から指摘されたり、自ら気付いたりするようになります。ですから、まずは興味をもったことに、失敗を恐れず積極的にチャレンジするようにしてください。その結果、途中で興味を失って、そのチャレンジを止めてもかまいません。そのような経験は、皆さんが自分自身の才能を見極める意味で、決して無駄にはならないからです。またチャレンジの過程で進路に迷ったら、自分にとってより困難だと思われる道を選択してください。そうすればチャレンジの結果がどのようなものであれ、新たな自己の才能に気付く機会が増えるとともに、その経験のひとつひとつが、将来皆さんの価値判断の基準となるでしょう。このように大学時代に行う様々なチャレンジは、失敗さえも自己の才能に気付くための学びとなります。ただし、チャレンジをするときには、道徳や社会規範の遵守とともに、学生としての本分を逸脱するような行動は決して行わないようにしていただきたい。

 未来の明るい社会をつくり出していく皆さんが、千葉大学において「つねに、より高きものをめざして」、皆さんの知性と教養を高めるとともに、ご自身に備わった才能を開花させ、その才能に基づく将来の夢が描けることを願っています。そして千葉大学は、皆さんの精神的成長と夢の広がりに向けて最大限の支援をすることをお約束して、告辞といたします。

平成31年4月5日
千葉大学長 徳久 剛史