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令和元年度千葉大学卒業式・大学院修了式・学位記授与式 答辞

掲載日:2019/10/03

 初秋を迎え、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。本日は、私たち卒業生・修了生のために、盛大な式典を挙行してくださり、誠にありがとうございます。また、ご多用の中、ご参加くださりました徳久学長、諸先生方に、卒業生・修了生一同を代表して、心より御礼申し上げます。

  初めて私が千葉大学の門をくぐったのは、今から15年前の2004年のことで、当時の所属は法経学部の法学科でした。しかし、学部三年生の時にスペインへ語学研修に行ったことが私の人生を大きく変え、学部卒業後にはスペインの歴史を研究すべく人文社会科学研究科に進学しました。私は修士課程より一貫して、近世スペインでキリスト教へ強制改宗させられたモリスコと呼ばれる、改宗ムスリムを研究テーマとしております。そして、現在ではスペインのみならず、モロッコにもフィールドを広げ、歴史研究を続けております。

 私が専門とする歴史学をふくめ、学問はそれを学ぶ者に、知識を得るための「旅」を要求します。アラビア語のよく知られた格言に「知識を求めよ、たとえ中国までも」というものがありますが、私もこの格言にならい、スペイン、そしてモロッコへと知識を求めて留学と言う名の「旅」をしました。特に、博士後期課程に進んだ2011年に、初めて長期でスペインに資料調査に赴いた折には、本学の大学院生等海外派遣プログラムの助成を受けることができたのですが、これは同年の東日本大震災の影響で、経済的な困難を抱えていた私にとって、大きな助けとなりました。先日、千葉大学の授業料が来年度から値上げされるというニュースが話題を呼びましたが、千葉大学がこれまで同様、経済的な困難を抱える学生に惜しみない支援の手を差し伸べ続けてくださることを願ってやみません。

 さて、千葉大学は私の入学したころとは内も外も大きく変わりました。とりわけ近年では、「留学」というキーワードが、キャンパスのあちらこちらで見聞きされるようになり、来年度入学者からは在学中の留学が必修化されると聞いております。自身の経験から海外に出て学ぶことの大切さは十分に理解しておりますが、それゆえに「受け入れる側」の重要性もまた痛感しているところです。留学という「旅」の成否の鍵は、留学を志す者ではなく、実のところ受け入れる側が握っている、と言っても過言ではありません。私が、今ここにこうして立っていられるのもまた、留学中に右も左もわからない私を助けてくれたスペインやモロッコの人たちの惜しみないご支援のおかげなのです。例えば、現地の滞在許可証の取得一つをとっても、言葉がよくわからないなかで、警察署や市役所、大学の事務部、果ては病院にまで足を運び、現地の人々とやり取りをするのには大変な困難が伴います。そんな時に私を助けてくれたのは、現地の友人たちや指導教員の先生方でした。

 私自身も帰国後は、微力ながら千葉大学の留学生のサポートをしてまいりましたし、今後も彼らが日本人の学生とともに、より高きものを目指せるように、支えていきたいと思います。そして、大学として「留学」の旗を掲げた千葉大学が、「送る側」としてばかりではなく、「受け入れる側」としても留学のサポート体制を一層充実させて行くことを確信しております。

 最後となりましたが、これまで温かく、時には厳しくご指導くださいました諸先生方、いつも細やかなご支援をいただきました大学職員の皆様、共に学び切磋琢磨した友人、経済的精神的に支え続けてくれた家族、そして、お世話になった全ての皆様に、心より感謝申し上げます。

 千葉大学の益々の発展と、皆様方の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げ、答辞とさせていただきます。

令和元年9月27日
令和元年度卒業生・修了生代表
人文社会科学研究科
押尾 高志