ニュース・イベント情報
Topics

千葉大学を卒業される皆さんへ(学長メッセージ)

掲載日:2020/03/23

  卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。これまで千葉大学で学び、努力と研鑽を積んで来られた皆さんに対して、教職員を代表してお祝いを申し上げます。

  始めに、皆さんが楽しみにしていた卒業式を中止したことを深くお詫びいたします。新型コロナウイルスの感染が日本はもとより世界中に拡大している情勢を鑑みて、卒業生の皆さんやご出席いただく保護者等の皆様の健康を最優先させました。卒業式が皆さんの人生の大切な節目の式典であることを思うと断腸の思いではありますが、ご理解いただきたくお願い申し上げます。

  皆さんが卒業される千葉大学は、「つねに、より高きものをめざして」の理念の下に高度な専門知識と倫理観を基礎に自ら考え行動し、社会の様々な分野でリーダーとなるグローバル人材の育成を目指しています。卒業生の皆さんは、この千葉大学の教育目標にそって勉学に励まれ、ご自身の専門性を磨かれ、精神的にも大きく成長されたことと思います。また、課外活動などを通じ様々な経験をされ、たくさんの友人や楽しい思い出を作られたことでしょう。大学時代の友人や思い出は皆さんの生涯の大切な宝物となることでしょう。教職員一同も、皆さんと共に過ごすことができた日々を誇りに思っています。そして皆さんは学士の学位を取得され、これから進むべき道に向かって夢と希望を膨らませていることと思います。

  これから皆さんが活躍しようとする社会は、科学技術などの進歩により大きく変化してきています。特に最近では人工知能・AIが著しく進化しており、一部の分野ではすでにヒトを凌駕する高い知能を持つようになっています。そのため近い将来、AIに取って代わられる職業なども話題になっています。同時にAIの進化が新たな学問分野や職業を生み出していくでしょう。このようにAIの進化は、これから皆さんが活躍しようとする社会の価値観や産業構造を大きく変えていくことでしょう。

  このような時代のリーダーは、AIでは解決できない「正解のない問題」に対して仲間の皆さんが納得できる答えを導き出せなくてはなりません。そのためには、創造的に考える能力である「知性」を磨き深めていることが強く求められます。このリーダーに必要とされる知性は、「正解のある問題」に対して素早く答えを導き出す能力である「知能」とは異なります。知能は先天的に備わっている能力で、成長過程での学修により著しく高まります。しかし、知能の高まりは成長して脳細胞の発育が止まることにより限界を迎えるため、人工的に知能をパワーアップし続けることが出来るAIには勝てません。ところが知性は、成熟した脳細胞に蓄えられた知識と知能を応用して問題解決に努力することにより後天的に高められていく能力なので、皆さんの努力により生涯にわたり磨かれ深まっていきます。

  私は、皆さんの多くが入学した4年前の入学式で、千葉大学では何事にも失敗を恐れず積極的に「チャレンジ」してほしいことや、もし選択に迷ったら「自分にとって困難だと思われる方」を選択してくださいとお願いしました。その理由は、チャレンジすれば必ず乗り越えなければならない課題が出てくるとともに、その課題を乗り越えるための努力をする過程で皆さんの知性が磨かれ深まっていくからなのです。また、自分にとって困難だと思われる方を選択することにより、それまでに経験していない事柄に対する対処法を学ぶことができ、結果として考え方の多様性が身につくとともに知性の範囲が広がるからです。

  これから皆さんが社会に出れば、自分の夢の実現に向けて様々な課題を乗り越えていくことになるでしょう。その過程で必ず「正解のない問題」と向き合うことになると思います。その問題を乗り越えようとするときには、千葉大学で培った知性を駆使して、決して安易な解決策を選択することなく問い続け、その時点でベストの解決策を見出す努力を続けてください。結果として皆さんの知性が磨かれていくでしょう。このようにして磨き抜かれた知性を発揮して、新しい世界をリードしていかれることを切望しています。

 新しい時代のリーダーには、深い知性とともに豊かな「人間力」を備えていることも大切です。人間力は「一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されますが、その育成に向けた努力の仕方は人によって異なります。そこで、大学院へ進学する方を含めて新しい世界へ向かわれる皆さんに、私が自身の人間力の育成に向けてこれまで心掛けてきたことをお伝えします。

  一つ目は、「人生の師」を見つけることです。新しい職場でこれから皆さんが行う活動において、人間力の育成法などというマニュアル本は有りませんので、その職場の先輩たちの人間力を見習うか、その方たちに教えを乞うしかないのです。大学院へ進学する方の場合は、メンターになる方の中から人生の師を見つけることになります。また、将来皆さんの社会における立場が異なるごとに、皆さんの人生の師となる方も異なってきます。その時に、どのような先輩やメンターを人生の師と仰ぐかは、それまでの皆さんが身につけてきた価値観により決まります。また、反面教師となる方も人間力の育成には重要な機会となることもあるので、学ぶ対象からは簡単に切り捨てないようにしてください。

  二つ目は、日々の行動や決断において「ぶれない」ことと「公平無私」であり続けようと努力することです。このような努力は周囲の人たちからの信頼を獲得することに繋がるとともに、結果として人間力を高めることになると確信しています。リーダーとしての立場が大きくなればなるほど、この二つを守ることの難しさも大きくなると思います。皆さんも、日常の行動や判断において「ぶれない」ことと「公平無私」であり続けようと努力することによって、ご自身の人間力を高めていってください。

  卒業生の皆さんが、千葉大学で学んだことに自信と誇りを持って大きく飛躍し、未来の明るい社会をつくり出してゆくリーダーとして、多方面で活躍されることを心より祈念しています。そして皆さんには千葉大学の同窓生として、千葉大学とともに後に続く後輩たちを応援していただきますようお願い致します。

  ご卒業誠におめでとうございます。

令和2年3月吉日
千葉大学長 徳久剛史