特色ある研究活動の成果
Research

質感の画像再現に関する研究

質感の画像再現に関する研究

研究代表者:田中 緑
共同研究者:
①氏名、②フリガナ、③ローマ字表記、④所属部局名、⑤職名、⑥専門分野
①堀内隆彦,②ホリウチタカヒコ,③Horiuchi Takahiko,④工学研究院,⑤教授,⑥色彩画像工学,視覚情報工学
①Alessandro Rizzi,②アレッサンドロ リッツィ,③Alessandro Rizzi,④Department of Computer Science, University of Milan,⑤Full Professor,⑥Digital imaging, Color, Vision.

図1 質感マネジメントシステムの概念図

田中 緑助教

田中 緑

Tanaka Midori

千葉大学国際教養学部助教

専門分野:イメージング科学
2010年 千葉大学工学部情報画像工学科 卒業
2012年 千葉大学大学院融合科学研究科 博士前期課程修了
2012年~2015年 ソニー株式会社
2016年 千葉大学大学院融合科学研究科 博士後期課程修了 博士(工学)
2016年~現在 千葉大学国際教養学部 助教
2017年~現在 千葉大学大学院融合理工学府 イメージング科学コース 兼担

どのような研究内容か?

 画像技術の発展によって、実物の色とディスプレイなどのデバイスに表示された画像の色が大きく異なるという経験は少なくなり、よりリアルで高精細なデジタル画像が日常生活に浸透しつつあります。映像・画像を扱う学問分野では、これらのデバイスの発展によって、実物体が持つあらゆる視覚情報を画像再現によって伝達することが可能になると考えられてきました。しかしながら、私たちの先行研究(Vision Research, 2015)により、近年のイメージング技術を以てしても、物体が持つ質感(光沢感や透明感、粒状感など)を余すことなく画像で再現することが困難であることが明らかになってきました。
 では、実物と同等の質感を感じる画像を再現することは不可能なのでしょうか?私たちはこの重要な課題を解決するために、どのような画像再現を行えば、実物が有する豊かな質感をそのまま伝えることができるのかを研究しています。

何の役に立つ研究なのか?

 私たちの日常生活には、多種多様な質感を有する物体が溢れています。それらの物体が有する色や質感は、高級感や魅力などの物の価値や印象に直結しており、消費者の購買意欲を掻き立てる商品開発や量産過程における品質管理などのモノづくりの現場では、極めて重要な指標です。例えば、インターネットで購入した商品が手元に届いた際に、画像で見た印象と異なっていたという経験はありませんか?これは、画像における質感情報が上手にマネジメント(管理)できていないために、実物と異なる印象を与えてしまうのです。私たちの研究は、画像にかかわる様々な産業界で活用されることはもちろんのこと、より上質な画像の伝達を可能にすることによって、将来のみなさんの生活をより豊かにするために役立ちます。

今後の計画は?

 現在は、実物とディスプレイ上に表示された画像間における質感再現の確立に向けて取り組んでいますが、より日常に役立つ技術としてみなさんの生活を支えるために、プロジェクタやプリンタなどの様々な特性を有する画像表示デバイス上で等しい質感を知覚できるための画像再現手法を構築し、色のみならず知覚的な質感をも管理することのできる「質感マネジメントシステム」の実現を目指しています(図1)。

関連ウェブサイトへのリンクURL

http://dippix.tp.chiba-u.jp/staff_mt.html

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

1. Vision Research, 2015.
2. Color Research and Application, Issue 4, 2017.
3. Color Research and Application, Issue 6, 2017.
4. Journal of Imaging Science and Technology, No.4, 2017.
5. Journal of Imaging Science and Technology, No.6, 2017.

この研究の「強み」は?

 質感の画像再現手法の構築(図2)において、私たちが発見した人間が物体の質感を見るときの視知覚特性を考慮している点が強みです。また、本研究を含む質感に関する研究 (質感の生成・計測・再現・知覚・評価・管理)は、工学や心理学、脳科学などの様々な分野を横断した幅広い研究領域において、学際的に理解を深める学術的な特色を持っています。さらに、産業界でのイメージング技術の発展を工学的に推進するだけでなく、質感認知にかかわるメカニズムの解明に通じる人間科学を探求する側面もある創造性豊かな研究課題です。

図2 私たちの方法によって、質感を保持した画像再現結果(右)