特色ある研究活動の成果
Research

ロンドンオリンピック、パラリンピック大会の競技場、選手村の跡地利用のあり方

ロンドンオリンピック、パラリンピック大会の競技場、選手村の跡地利用のあり方

ロンドンオリンピックに関係する計画と主体との関係

村木 美貴

村木 美貴

Muraki Miki

大学院工学研究院教授

専門分野:都市計画

横浜国立大学大学院工学研究科博士課程後期修了。博士(工学)。東京工業大学大学院助手、オレゴン州立ポートランド州立大学客員研究員を経て千葉大学工学部助教授、大学院准教授を経て、同教授。専門は都市計画。低炭素型都市計画、スマートコミュニティ、コンパクトシティなどの研究を中心に進めている。社会資本整備審議会、交通政策審議会、中央環境審議会などの委員を歴任。

どのような研究内容か?

 この研究は、ロンドンオリンピックのための計画とオリンピックの遺産を活用する、ポスト・オリンピックのレガシー計画(以下、レガシー計画)の関係をいかに構築し、誰が、どのように実施していったのか、その方法を明らかにすることで、2020年の東京オリンピックに向けた計画づくりに示唆を与えることを目的としています。
 ロンドンは、最も衰退した民間開発の入らない東ロンドンの大規模再開発種地をオリンピックのメイン会場として、都市再生の起爆剤としました。ロンドンでは、オリンピック終了後のレガシー計画をまず考え、その上でオリンピック競技場の土地利用計画、交通計画の立案を行ってきました。
 低炭素型市街地形成のための地域冷暖房の敷設、民間事業の支援のために、40年間英国最長の特定地域において、事業者が免許や契約で独占的営業権が認められるコンセッション契約、すべての開発が敷設された地域冷暖房のための熱供給を行う熱導管につながる官民連携手法が入れられています。これは、民間事業を後押しし、公共の求める低炭素型市街地形成を実現させ、市場に安価なエネルギーを提供するという3者にとってwin-winとなる関係を構築しています。こうした取り組みは、日本には見られず、そこには日本と異なる市街地の開発価値、雇用対策、交通計画、低炭素型開発、官民連携が存在しています。
 日本には、ロンドンのような衰退地域はなく、また、数少ない都市再生の種地となる場所も限定的です。ただし、オリンピックのための主要施設の立地する臨海部では、オリンピックの遺構がどのように活用され、新たな価値を地域にもたらすのか、どのような都市開発制度、官民連携手法が必要かを考えることが大事です。

何の役に立つ研究なのか?

 東京の将来計画、オリンピックのための都市整備を、オリンピック終了後の都市づくりに役立たせるために、先のオリンピックであるロンドンから学び、東京の都市づくりに役立たせることができます。

今後の計画は?

 ポスト・オリンピックのための都市づくりに役立たせるために、東京の都市づくり、土地利用計画、必要とされる都市整備の在り方、地域価値の上昇のための官民連携方法について検討を行っていきます。

関連ウェブサイトへのリンクURL

計量計画研究所

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

 2016年に終了した計量計画研究所のフェローシップにて最終報告を実施しました。すでに、日本ビルジング協会、札幌市役所、日本都市計画家協会、自治体セミナー、東京都の2050年ビジョンなどでの報告実績を持っています。また、日本都市計画学会論文や、機関紙319号オリンピック特集への寄稿などがあります。

この研究の「強み」は?

 諸外国の都市づくりは、文化の違いもあるものの、その中でどのような新しい取り組みがなされているのか、計画づくりに関わった人々への直接のインタビュー調査から課題・力点を明らかにし、各種計画とその実績を調べることで、日本の都市づくりの在り方と新しい計画制度を作ることに役立てることができます。

学生や若手研究者へのメッセージ

 都市計画は将来のための都市構造に大きな影響を与えます。しかし、都市は簡単には変えられません。そのため、20年といった先を見越し、どのような都市が望ましいのか、その実現に向けた計画と、新しい制度を考えることに大きな意味があります。日本は人口減少と超高齢化を迎えるため、どのような都市構造を考えていくか、こうしたことを真摯に考える人たちが増えていくことを望みます。新しい都市づくりと、そのための仕組みづくりを一緒に考えましょう。

ロンドンオリンピックサイトの現況

オリンピックパークから外に伸びる熱導管ネットワーク