研究
Research

シナモンマスクでインフルエンザの予防 (インフルエンザの予防目的のシナモン成分含有マスクの安全性検討)

シナモンマスクでインフルエンザの予防
(インフルエンザの予防目的のシナモン成分含有マスクの安全性検討)

並木 隆雄診療教授

並木 隆雄

Namiki Takao

千葉大学医学部附属病院診療教授(和漢診療科長)

専門分野:日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医、日本循環器学会専門医、日本内科学会
認定専門医、日本不整脈学会専門医

埼玉県生まれ。千葉大学医学部のサークル、東洋医学研究会OB。
1985年千葉大学医学部卒業後、循環器内科医師として勤務。2005年、千葉大学大学院医学研究院に和漢診療科が設置され、同客員助教授となる。2010年に千葉大学大学院医学研究院和漢診療学准教授に就任、2011年、千葉大学医学部附属病院和漢診療科長、現在に至る。

どのような研究内容か?

食品にも用いられている香りのよい生薬「桂皮(シナモン・ニッキ)」は、動物実験でインフルエンザの予防効果が認められています。桂皮は感冒時に頻用される漢方薬の成分で、例えば葛根湯、桂枝湯、桂枝茯苓丸などの医療用医薬品として広く用いられている生薬です。桂皮でのインフルエンザの予防効果はヒトでも同様の効果が期待されており、この研究では開発したシナモン成分含有マスクの使用勝手や安全性を調査しています。

何の役に立つ研究なのか?

インフルエンザは症状の遷延化、重症化を生じやすく、肺炎などに進展し死亡する場合もあるウイルス性の病気です。この研究では日本の季節の中で毎年のように流行するインフルエンザの予防に焦点を当てています。
インフルエンザを予防するためのワクチンは、インフルエンザ型が合わなかった場合の抑止力が非常に弱いのが現状です。治療薬としては内服、吸入、注射薬がありますが、現在日本での予防薬としては流行前にワクチン投薬を注射で行うことのみです。それ以外にはインフルエンザの予防に関しては、全年齢に対し安全に使える方法は海外も含めてまだありません。
過去の研究で桂皮(シナモン)に含まれる成分「シンナムアルデヒド」は、内服より吸入の方がインフルエンザ感染症に効果が有ることが判明しています。(Antiviral Res.44, 193-200,1999)。桂皮(シナモン)は漢方薬成分として長年使用されている食品であるため過剰摂取しない限り、安全性が非常に高いとされています。
基礎実験の結果からインフルエンザの型に関係なく、有効な可能性があると考えられ、マスクでのシンナムアルデヒドの吸引をすることにより、新型インフルエンザへの予防対策の可能性も考えられます。

今後の計画は?

この研究では人に対する安全性の検討であり研究に参加された被験者のうち92%の参加者が大きな副作用は無く使用することができました。今後は商品化に向け使用感の向上を目標に、さらなる改良を目指していきます。

関連ウェブサイトへのリンクURL

千葉大学大学院医学研究院和漢診療学

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

平成26年12月に「シナモン入りマスクのインフルエンザへの効果」に関する臨床試験の参加者募集を開始したところ日本経済新聞社(平成27年1月14日)を皮切りに延べ新聞社5社およびラジオ放送(J-WAVE)に紹介された。

この研究の「強み」は?

漢方薬は、人間での長年の歴史的淘汰を経て残った財産だと思います。そういう点で、有効性のみならず安全性も高いと思われます。

研究への意気込みは?

このマスクが将来、多くの方の健康を守ることを期待するとともに、科学的な有用性を示せればと考えています。さらに、多くの今までに見過ごされてきた漢方薬に用いられている成分の再評価につながればと考えています。

学生や若手研究者へのメッセージ

和漢診療学とは「東洋医学」と「西洋医学」、それぞれの短所を補い、長所を活用して、より良い医学を提供することです。
私たちは現代医療に東洋の物の見方や治療法を加え、新しい時代の治療学の確立を目指しています。これからの時代の医療を背負う医師・コメディカルの教育、漢方医学の科学的裏付け研究を推し進めるとともに、西洋医学と東洋医学の融合した最善の医療の提供を目指していきます。

その他

引き続き臨床研究(インフルエンザシーズンに募集)を続けますので、ご興味のある方はご協力をお願いします。

シンナムアルデヒドとマスク