研究
Research

大学院 理学研究科 地形学研究室

地形の成り立ちや地震のメカニズムをさまざまな観点から分析する

大学院 理学研究科 地形学研究室

ー地球科学コースー

東日本大震災を契機に、地殻の変動や活断層といった言葉が一般的にも知られるようになり、また、そうしたメカニズムの解明は大きな社会的ニーズとなっています。これらを総合的に研究する学問が変動地形学です。宮内崇裕教授にお話を伺いました。

宮内崇裕

みやうち たかひろ

千葉大学大学院理学研究科教授。(2013年12月時点)
東北大学理学部地学科卒。東京都立大学大学院理学研究科の博士課程修了。1989年から千葉大学で助手となり、2007年より現職。専門は変動地形学。
2011年の東日本大震災に伴い、原子力規制委員会が設置する有識者会議に選出される。

地学分野の研究に進まれたきっかけは何だったのでしょうか。

子どもの頃から地形が好きだったというのが、やはり大きいと思います。
私は群馬県の沼田盆地という場所の出身で、山の地形は自然と目にしていましたし、親戚の家が神奈川県の逗子にあったので、遊びに行くたびに海の地形にも親しんでいて、山の地形と海の地形の違いを面白いと感じていました。そういう意味では、地学に興味を持ちやすい環境が揃っていたと言えるかもしれませんね。
地形の成り立ちを研究したいと思った直接のきっかけは、高校の地学の授業で見に行った河岸段丘に感動したことです。その後、私が大学2年のときに、マグニチュード7・2の宮城県沖地震が起きたことで、地震のメカニズムや地殻変動についても知りたいと思い、変動地形学の研究をするようになりました。

地形学の研究というのは、どのように行うのでしょう。

研究の際に重要なのは、現場でのフィールドワークです。地形学の研究者は、「観る・掘る・測る」とよく言いますが、自分の足で地形や地層を見に行くほか、ボーリング作業で地層を掘り起こして分析したり、測量によって地形を把握したり、とにかく「現場の学問」と言っていいでしょう。学生たちにも、机上だけで考えるのではなく、現場に行くことの大切さを教えるようにしています。
また、古い地形の状態や大きな地震の記録を知るために古文書をひもといたり、そうして得た情報を解析して地形の成り立ちのシナリオを組み上げたりと、分析力や思考力を問われる学問でもあります。こうした努力の結果、新たな発見を見出したり、それまでわからなかった仕組みを解明したりできることが、地学の魅力だといえますね。

具体的にはどのような研究をされているのでしょうか。

私が今取り組んでいるのは、岩手県にある三陸海岸の隆起沈降や、巨大地震サイクルの解明に向けての研究です。
地形はどんなときに隆起、あるいは沈降するのか、現在は隆起傾向なのか、それとも沈降傾向なのかといったことについて、データを解析しながら探っていきます。東日本大震災以降、地震発生のメカニズムを解明することは地学上の重要なテーマとなっていますので、地震学や地質学など、さまざまな観点から、総合的に研究を進めていきたいと考えています。

また、東日本大震災に関連するところでは、原子力規制委員会が設置する有識者会議に選出されたことが挙げられます。
私はこれまで、海岸の隆起沈降がもたらす地震性地殻変動や活断層についての研究を長く続けてきたので、そうしたテーマについて、マスコミからの取材を受けることもあります。
自分の発言がメディアに乗ることには大きな責任も伴いますし、最初は戸惑いもありましたが、社会の役に立つことですから、科学的に自分が判断し、確信を持って言えることだけを発信していきたいと考えています。

最後に学生へのメッセージをお願いします。

学生生活というのは、社会に出るための準備期間と言えます。
大学の中でも特に研究室というのは一種の共同生活で、いわば社会の縮図ですから、人間関係をはじめとするさまざまなルールを学び取ってもらいたいと思います。
また、研究に関していえば、自分の目で見て自分の頭で考えるという姿勢、納得がいくまで時間をかけて取り組む姿勢、そうした習慣をしっかり身につけておけば、社会に出たときに役立つでしょう。研究には発見の感動や成し遂げたときの充実感がありますので、学生たちにはそうした感動を経験して巣立っていってほしいですね。

地学の魅力や面白さは、やはり発見に尽きると言えます。自分が「こうではないか」とあらかじめ予測していたことが、実際に現場の調査で確かめられたときには、充実感や達成感がありますね。

石村特任研究員

フィールドワークの大切さを日々感じながら研究をしています。藪をかき分けていくような場所で地質調査をすることもありますが、そんな苦労の中だからこそ感じられる感動を学生には味わってほしいと思います。

金田准教授

地形学研究室で宮内教授と共同で研究を行っている金田平太郎准教授(中)と石村大輔特任研究員(左)

フィールドワークでは、地形の発達史を分析するためのボーリング調査や、
正確な地形データを得るための測量などを行う。

フィールドワーク後は、研究室で精密機器やコンピュータを用いて
採取試料の分析や地形の解析・モデリングに取り組む。