研究
Research

大学院 看護学研究科 成人看護学教育研究分野

人生を生き抜くことを支援するスペシャリストを育成する

大学院 看護学研究科
成人看護学教育研究分野

人は誰でも人生の終わりを迎えます。
そのときに看護師はどのように患者を向き合えばいいのか。
高齢化が進み、今後ますますニーズが高まるこうした要請に応える看護師の育成を行うのが、成人看護学教育研究分野です。
眞嶋朋子教授にお話しを伺いました。

眞嶋 朋子

まじま ともこ

千葉大学大学院看護学研究科教授。(2013年9月時点)
千葉大学看護学部卒。看護師として日本バプテスト病院に務めた後、千葉大学大学院看護学研究科の修士課程修了。
日本赤十字看護大学で教員、千葉大学大学院看護学研究科の博士課程、東京女子医科大学助教授を経て千葉大学へ。
終末期看護の研究、専門看護師の育成などを行う。

がんをはじめとする終末期看護についての研究に進まれた経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

もともとのきっかけとして記憶にあるのは、私が高校2年のときに叔父ががんで亡くなったことです。病状が悪化するにつれて寝たきりになり、最後は口もきけないような状態になった叔父が、当時の私には遠い存在に感じられたのですが、もっと何かできたのではないかという思いがあり、それが看護を志した一つの大きな要因になっています。
大学を卒業した後に、京都の日本バプテスト病院ですぐに看護師として働き始めたのも叔父の死という体験の影響がありました。日本バプテスト病院を選んだのは、一つにはがんの闘病患者が多かったのと、もう一つはキリスト教系の病院なので、死や余生の生き方について患者さんと話せる機会が多い環境だったからです。ここで多くのがん患者さんと向き合えたことが、今の私の研究にも大きな影響を及ぼしています。

具体的にはどのような形で生かされているのでしょう。

私は今、がんも含めた終末期患者の心理状態や家族のケア、また、こうした医療現場で活躍できるような専門看護師の育成に取り組んでいます。こうした研究では、まさに私がバプテスト病院で体験したように、患者さんといかにきちんと向き合うかが重要なんです。私が教えている大学院生には、患者さんとの対話を通して、その患者さんが何を考え、どのように生きたいかをつかませるようにしています。
また、現代のがん患者は、医療技術が向上したことで余命が延び、以前に比べると闘病期間が長くなりました。これはもう、がんというよりも慢性疾患に近いんですね。そうなると、当然ながら患者さんをどう支えていくか、さらには患者さんの家族をどう支援するかということにもつながっていきます。
看護というのは、治療そのものには直接かかわりませんが、患者さんがどう生きたいかということに注目する必要があり、私の研究でも、患者さんや家族の方が人生の終わりの時期にどのような心理状態なのか、それに対してどのようなケアが必要なのかということを言語化・可視化することに大きな意義があると考えています。

今後、先生が取り組んでいきたいことはありますか。

千葉大学では今、文部科学省の採択事業である「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」というプロジェクトを進めています。これは平成20年度から千葉大学が進めてきた「がんプロフェッショナル養成プラン」を引き継ぐ形でスタートした事業で、千葉大学をはじめとする8大学が連携し、国際的な視野を持ったがん専門医療人を養成するというものです。
グローバル化が急速に進むがん医療において、国際的視点を持ったがん専門のスペシャリストを養成するのは急務です。
私自身、eラーニングのプログラム作成やアジアでの高度な看護教育に関するニーズ調査を行っていますが、これから活躍するのは若い人なので、今後はそのサポート役も担っていきたいと考えています。

最後に学生へのメッセージをお願いします。

千葉大学の学生は、良くも悪くもまじめでおとなしいという印象があります。受講態度もいいし課題もきちんとやってくれる一方で、ディスカッションしたり、突拍子もないアイデアを生み出したりするのはやや苦手かもしれませんね。ただ、行動力や熱意はあると思います。私は以前、障害学生支援室の室長をしていた時期があるのですが、ボランティアの学生が本当に一生懸命やってくれたのを記憶しています。きっとおとなしく見えて、内面には熱意を持っている人も多いのでしょうね。
もっともっと人とコミュニケーションを取って、自分がすべきことや求められていることを知れば、そうした熱意や行動力を生かすことができるのではないでしょうか。

ゼミでは、研究発表やディスカッションが行われる。終末期看護のニーズが高まるなか、理論と実践を兼ね備えた専門看護師の育成は急務だ。