研究
Research

大学院 工学研究科 ロボット工学研究室

生物が持つ機能美を、多様なロボットで表現

大学院工学研究科 ロボット工学研究室

ー並木グループー

危険な場所での遠隔操作をはじめ、今後ますます重要性が高まっていくであろう「ロボット」。ロボット工学研究室並木グループでは、こうしたニーズに応えるため、高速で反応するロボットやスムーズに遠隔操作できるロボットを開発しています。同研究室の並木明夫准教授にお話を伺いました。

並木明夫

なみき あきお

千葉大学大学院工学研究科人工システム科学専攻機械系コース(工学部機械工学科)准教授。(2013年3月時点)

東京大学工学部計数工学科卒。同大学院で博士課程修了。工学博士。高速反応が可能な多指ロボットハンド、視覚や触覚などの複数の感覚情報を統合した遠隔操作ロボットなどの研究を行っている。

並木先生がロボット研究に進まれた経緯はどのようなものだったのでしょうか。

実をいうと、子どものころからロボットに夢中だったというわけではなく、もともとは生物の体の仕組みに興味があって、図鑑が好きな子どもだったんです。ロボットに限らず、メカニズムや仕組みを理論的に解明することには、昔から興味がありましたね。生物の動きや体の構造というのは、機能的で美しい。大学の工学部に進んだときに、ロボットを突き詰めていくと、そんな機能的な動きを自分でつくりだすことができるということを知って、ロボットの研究を始めたんです。

幸い、大学院生のときに、視覚と連動して高速反応するロボットハンドのシステムを開発することができ、それが今の研究の基礎となっています。

今、研究されているロボットについて教えてください。

大きく分けると、「自分で反応して動くロボット」と「人間が操作するロボット」ということになります。自分で反応して動くロボットは、製造・生産ラインなどの産業利用が考えられます。私の研究室では、ジャグリングができるロボットハンドやエアホッケーロボットを製作して、視覚センサーや触覚センサーを使った正確で高速な動きの研究をしています。

一方、人間が操作するロボットは、遠隔操作で人間の動きをロボットが再現するというもので、危険な場所での作業などに向きます。遠隔操作ロボットは、災害や事故の現場などでの需要が高くなっていて、その重要性は今後ますます大きくなっていくでしょう。私の研究室で開発しているマスター・スレーブロボットは、操縦者が装着する装備が従来のものに比べて格段に軽いため、移動性や操作性が高く、メンテナンスも手間がかからないよう工夫しています。また、スイッチひとつで、操作するロボットを切り替えるなどの研究も進んでいます。

先生が開発されたロボットハンドのポイントはどのような点でしょうか。

遠隔操作ロボットの場合は、人間が操作するため、ある程度は人間の体の構造に似せる必要があるのですが、ロボットハンドの場合は必ずしもそうではないんです。というのも、人間は筋肉の補助がありますが、ロボットはモーターで動きますので、そもそもの特性が違うんですね。ロボットはロボットの構造や仕組みに合わせてつくるほうが、性能を上げることができます。私の研究室で開発したロボットは、細かい作業や速度を要求される作業を正確に行えるよう、指の数、指先の動作、関節の数などをロボットの特性に合わせています。先ほどお話ししたジャグリングができるロボットハンドは、世界的に見ても他に例を見ないものだと自負していますが、これもロボットとしての機能を最優先したから実現したものです。

今後の研究についてどのようにお考えですか。

ロボット研究は、実用化され社会の役に立つことが最重要ですから、これまでの研究をさらに推し進めて、より高性能なロボットを開発していきたいですね。特に遠隔操作ロボットには社会的なニーズが高まっているので、今後も力を入れていきたいと考えています。また、これは個人的な夢ですが、運動能力にしろ知能にしろ、人間を超えるようなロボットが実現可能なのかどうかを、突き詰めて確かめたいと思っています。

最後に学生へのメッセージをお願いします。

 千葉大学の学生は、総じて能力は高いと思いますが、もっと我が強くてもいいと思います。研究というのは競争の世界ですから、他大学や他の研究機関の先を越さなければナンバーワンにはなれません。せっかくの優秀さを活かすためにも、ぜひ自分の信じた道を切り拓くという気概を持ってくれるといいなと思います。

ジャグリングロボットは関節の動きとスナップを使い、1本の腕で2つのボールを交互に投げ上げる。

遠隔操作で動く「マスター・スレーブロボット」。Flexible Sensor Tubeと呼ばれる軽くフレキシブルな多リンク機構を用いることで、操縦者の負担を軽くし、より軽快で素早い操作が可能となった)

エアホッケーロボットは、パックの軌道を予測するのではなく、センサーを通してロボットが反応する。「普通にやれば人間に負けることはありませんよ」と並木准教授