研究
Research

大学院 園芸学研究科 緑地環境管理学 秋田研究室

コミュニティガーデンを通じて、人と地域と時をつなぐ

大学院 園芸学研究科 緑地環境管理学 秋田研究室

ー緑地環境学コース環境造園学領域ー

緑地利用を中心に、これからの都市のあり方を研究し、東日本大震災の復興支援に生かすなどの実践を行っている秋田典子准教授。千葉大学に赴任したことが、自らの研究にとって大きな転機になったという秋田准教授にお話を伺いました。

秋田 典子

あきた のりこ

千葉大学大学院園芸学研究科准教授。(2015年12月時点)
東京大学大学院工学系研究科で都市工学を専攻し博士課程を修了後、東京大学国際都市再生研究センター特任研究員などを経て2008年12月より現職。専門分野は土地利用や緑地環境管理、環境マネジメント。

先生の専門分野である緑地環境管理学は、どのような学問なのでしょう。

一言でいうと、人と自然の共生について考える学問です。本格的な少子化を迎えつつある日本では、人口減少で余った土地をどう管理するかが大きな課題となります。緑地は、我々が暮らす空間に潤いをもたらしたり、農産物の生産や、防災、更にはコミュニティを育む役割も果たします。緑地を適正に維持、管理し、また創造することは、これからの日本でソフトとハードの両面から重要な分野になってくると感じています。

先生は学生時代に都市工学を学ばれたそうですが、こうした分野に興味を持ち、さらに緑地環境へと研究の幅を広げたのはどのようなきっかけがあったのでしょう。

私は大阪のニュータウンで育ちました。子どもの頃からその空間に違和感を覚えるのはなぜだろう、と疑問を抱いていました。都市工学について本格的に学びたいと思った直接のきっかけは阪神淡路大震災です。土地の歴史が分断されたニュータウンにはない魅力が成熟した神戸の街にはありました。その神戸が大きな被害を受けたのを見て、空間に関わる仕事をしたいと思ったのです。都市工学の博士号を取ったあとは、条例や行政計画の策定などに携わりましたが、規制や計画だけでは空間のマネジメントに限界があると感じていました。そんなときに、千葉大学の園芸学部に着任することになり、自ら汗を流して緑地空間を創造し、管理する取り組みにチャレンジする機会を得ました。私にとっては、千葉大学に赴任したことが大きな転機になりました。

先生は東日本大震災の被災地の方々と交流されているそうですが、これはどのような意図があるのでしょう。

1000年に1度といわれる大きな災害が、私が生きている時代に起きたことに対し、自分なりに何らかの責任を取るべきだと考えました。震災で荒廃した環境を少しでも改善し、人と人の繋がりを再生し、また、人口減少や津波の被害により見捨てられてしまう大量の土地をどのように管理していくべきかを模索するために、学生とともに石巻市や釜石市、陸前高田市、大槌町などでコミュニティガーデンづくりに取り組んできました。コミュニティガーデンは地元の住民同士を繋ぐだけでなく、子どもと大人、大学生と高校生、住民と支援者を繋ぐ場にもなっています。これからは、今と未来を繋げる場にしていきたいと考えています。

では、最後に千葉大生へのメッセージをお願いします。

 被災地活動の目的の1つに、厳しい状況を乗り越えてこられた方の話を学生が直接伺うことで、価値観や幸福の評価軸の多様性、日々の暮らしを営むことの意味について考えてほしいという願いがあります。留学も同様です。私の研究室ではフィールドワークを重視しますが、これは豊かな空間づくりには、土地利用に関わる仕組みの知識や、場を読み解き空間を構想する力に加え、そこでどんな人がどんな暮らしをするのかという想像力がとても大切だからです。千葉大生の柔らかく温かい心は、多くの方の支えになっていると被災地で実感していますし、今後の社会ではそれがより重要性を増すと思います。引き続き、学生とともに豊かな空間づくりについて考え実践し、学生の主体的な取り組みを後押ししていきたいと思います。

関連ウェブサイトへのリンクURL

http://www.h.chiba-u.jp/academics/staff/akita_n.html

ゼミでは、Skypeを利用し海外留学中の学生も交えてディスカッションを 行っている。留学先で多いのは、日本同様に都市の縮退が進み、緑地環境管理の先進事例が数多く見られるドイツ東部の大学

東北の被災地で地元の高校生や住民とともにコミュニティガーデンづくりに取り組む学生たち。園芸学部のある松戸は常磐線沿いにあり、震災の影響が身近に感じられたことも復興支援を始めたきっかけのひとつ。