研究
Research

癌の本態解明および臨床応用へ向けた小分子開発を行う癌エピゲノム拠点

癌を解明し新たな創薬を目指すエピゲノム研究

幹細胞研究の出口:再生医療 VS 疾患研究

金田篤志教授

金田 篤志

Kaneda Atsushi

千葉大学大学院医学研究院教授

平成6年東京大学医学部医学科卒業。東京大学第3外科学教室(現消化管外科学)に入局、平成11年より助手。国立がんセンター研究所、ジョンズホプキンス大学を経て平成18年より東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。JSTさきがけプロジェクト、JST CRESTプロジェクト等を遂行。平成25年に千葉大学大学院医学研究院分子腫瘍学教授に就任、平成26年よりAMED革新的がん医療実用化研究事業等を遂行。消化器癌を中心に、癌におけるエピゲノム異常と発癌分子機構の解明、癌の防御機構におけるエピゲノム制御を研究し、癌診断・癌治療への応用を目指している。

癌の原因である「エピゲノム異常」の解明により新しい薬剤開発を目指す

私たちはエピゲノム異常に着目し、どうして癌ができるのかを解明し、癌に対する新しい薬剤を開発しようとしています。
癌とは何でしょうか?私たちの体を構成する細胞は、生きるための情報をゲノムDNA上に暗号記号のように持っています。この暗号記号に異常が生じると、重要な蛋白質を失ったり、本来存在しない異常な蛋白質が生じてしまいます。その結果細胞は異常に増え続けたり、違う場所へ移動してしまうようになります。これが癌です。現在、様々な種類の癌に対して網羅的ゲノム解析が行われ、同定された重要なゲノム異常を手掛かりに新しい薬剤が開発されています。
癌はこのようなゲノムDNA異常と、エピゲノム異常が原因で発生します。エピゲノムというのはゲノムDNAの周囲に付いている飾りのことです。DNAそのものに対するメチル化や、DNAが巻き付いているヒストンという蛋白質に対するアセチル化やメチル化のようなヒストン修飾、などが含まれます。我々の体を構成している細胞は基本的に全く同じゲノムDNA暗号情報を持っている細胞です。しかし細胞の種類ごとにエピゲノム修飾が異なり、どの遺伝子を使ってどの遺伝子を使わないべきかマークを入れることで、それぞれの細胞が正しい振舞いを行えるようにコントロールしています。もしエピゲノム修飾に異常を来したら、細胞は正しい振舞いができず、癌の原因となります。実際、エピゲノム異常は多くの癌に認められ、例えば癌発生初期に蓄積し、その後の癌発症リスクを高める原因となります。

医・理・薬学の専門家が融合してさまざまなタイプの癌を解明

癌は、例えばひとくちに胃癌と言っても決して1種類ではありません。細菌感染などを介して発生する胃癌と、ウイルス感染を介して発生する胃癌とでは、エピゲノム異常が大きく異なります。そこで、癌をさまざまなタイプに分類し、各タイプごとに重要なエピゲノム異常がどうして蓄積してしまうのかを詳しく解明し、エピゲノム異常の蓄積を邪魔する薬を開発します。あるいは蓄積してしまったエピゲノム異常については、その異常部分を効率よく書き換える薬を開発します。エピゲノム異常というのは、ゲノムDNAの暗号情報そのものは壊れていないので、エピゲノム修飾だけ正しく変更してあげればまた細胞は正しい振舞いを取り戻せるのです。癌は我が国において、生涯のうちに1/2の者が罹患し1/3の者の死因となる重要な疾患ですが、この解明と新たな薬剤開発を、医・理・薬学の専門家が融合して進めます。

学生、若手研究者の皆さんへ

エピゲノムは癌だけでなく、その他多くの疾患や生命現象を解き明かすカギとなります。その分子機構を解明し、新たな創薬を一緒に目指しませんか?

関連ウェブサイトへのリンクURL

http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/moloncol/

癌エピゲノム研究グループとのワークショップ

研究班1:組織幹細胞と疾患研究

研究班2:臓器再生と細胞療法研究

研究班3:疾患iPS細胞と疾患研究

連携体制