千葉大学の現状
千葉大学は、9学部、9大学院組織、2研究センターおよび13センターからなる大規模総合大学である。2007年の世界大学ランキングでは284位、国内に限れば15位と評価されている。とりわけ、臨床医学や動植物学、薬学、農学領域で高い評価を獲得しており、医学・生命科学は本学の特色ある研究領域である。また、本学は2件のグローバルCOEプログラム、4件のCOEプロジェクト、5件の大学院教育改革プログラム等を獲得し、国際的に大きな成果を挙げており、現在、学長のリーダーシップのもと、学術推進機構によるマネジメント体制を構築し、世界最高水準の大学をめざしている。
医学研究院では、平成13年度より米国型人材育成システムをモデルとした研究教授制・研究准教授制を導入している。適切な教員業績評価および人的資源の流動化を推進するため、任期制については医学研究院に続いて薬学研究院でも平成20年度から導入している。また他部局においても評価制度が実施されることになり、若手研究者活躍の場を整える環境整備が進められている。
人材システム改革・若手研究者育成の構想
医学研究院が推進してきた研究型若手人材育成システムを基礎として、本プログラムでは生命系科学を中心とする自然科学系分野に焦点を絞った千葉大学生命系科学研究機構を構築する。国際公募により優秀な人材を採用し、本研究機構が中心となって部局横断的な教育への効率的な参加など多彩な体験の場を提供することで、各受入れ研究院・研究科の目指す世界的研究拠点形成の中核となる若手研究者の育成を行う。
研究型教員(原則として特任准教授)には、独立したポストと研究スペースおよび研究費(ポスドクなどの人件費を含む)を準備し、研究の活性化と人材の育成を大幅に加速させる。5年目の終了時には、外部学識経験者を含む評価・選考委員会による厳正かつ公正な評価を行い、受入れ研究院・研究科が准教授(原則)として常勤の教員への移行について決定する。
ミッションステートメント
医学研究院での人材育成制度の経験を生かし、生命系科学分野を中心とする自然科学分野を対象として、独立した若手研究者の育成と研究の活性化を大幅に加速させる千葉大学生命系科学研究機構を構築する。若手の研究型教員(原則として特任准教授)を国際公募し、当該研究院・研究科における重点研究領域・分野の研究の活性化を通じて人材養成施策を改革する。候補者の評価と選考には、外部委員を含む全学レベルの「評価・選考委員会」を設置し、厳正かつ公正に行う。
採用後3年目の中間評価では、研究の方向性・継続性の可否の決定とともに、今後の発展性を検証する。この時点での目標は、採用時の研究計画を上回ることを基本とする。また、本制度についても検証し、本格的なテニュア獲得への現実的道筋を明確にする。
5年終了時における研究者の常勤の教員への昇任は、評価・選考委員会が国際的な視点で厳正な評価(書面・面接・セミナー)を行い、受入れ予定の研究院・研究科(教授会)が決定する。評価に当たっては、研究型教員(特任准教授)として、@学会等への研究成果の国際発信、A学生への教育内容、指導方法等、B科研費等の競争的資金の取得状況等、多様な視点で行うこととし、採用した若手研究者が本学または他の国内外の大学等研究機関の常勤のポストに就任することを基本とする。
(1)人材養成システム改革構想の概要
千葉大学では、医学研究院が若手研究者の育成を目指して平成13年に研究教授制・研究准教授制を全国に先駆けて導入し、著しい成果をあげている。この経験の下、運営組織として生命系科学研究機構を設立し、生命系科学分野を中心とする自然科学分野を対象に科学技術振興調整費や学長裁量経費、基金などにより、14名の若手研究型教員(原則として特任准教授)を国際公募し、当該研究院・研究科における重点研究領域・分野において、独立した若手研究者の育成と研究の活性化を大幅に加速させる。
本プログラムでは、5年の任期制を採用し、本人の裁量で使途の可能な5年間3,000万円程度の研究費(ポスドク等の雇用費を含む)を用意する。研究スペースとしては、一人当たり平均100uを確保し、新たな研究室の確保・整備のためスタート・アップの経費を別途支援する。
- 医学研究院では、免疫・がん治療・再生医療・感染症・脳神経科学・環境健康科学等を中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
- 薬学研究院では、ゲノム機能科学、生物情報学およびシステム生物学、ケミカルバイオロジー、SPECTの高度利用のための医薬品臨床開発学等を中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
- 園芸学研究科では、ナノサイエンスや生物有機化学と連携した分子細胞生物学や構造生物学の研究等を中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
- 理学研究科では、分子細胞生物学、生態学、系統進化学、地球環境学等を中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
- 工学研究科では、認知症の早期発見、早期治療を目指した認知科学・がん治療機器開発・ロボティックス(生活支援ロボット、内視鏡手術)・分子イメージングを柱とした医用画像処理・生活習慣病を主とした健康計測などを中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
- 融合科学研究科では、ナノバイオロジー(分子生命科学、生命機能科学等)、医工学(分子イメージング、医療診断支援等)の融合的・先端的分野を中心とする分野の人材養成、研究組織活性化を行う。
(2)3年目における具体的な目標
採用した研究者に対して毎年報告を求める他に、3年目に海外の専門家を含めた書類審査とセミナーによる独自の中間評価を行う。この時点での達成目標は、当初計画を着実に遂行し競争的資金獲得も含めた実績をあげることとする。また研究者の評価ばかりでなく、本制度(研究型教員)についての取り組み状況に関しても外部評価を受ける。
(3)実施期間終了時における具体的な目標
5年終了時における各研究科・研究院への常勤の教員への昇任は、評価・選考委員会が高度かつ客観的な視点で厳正かつ公正な評価(書面・面接・セミナーの開催)を行い、受入れ予定の研究院・研究科(教授会)が決定する。
テニュア・トラックとして採用された特任准教授の評価は、
@研究成果を国際発信しているか
A研究コンセプトが適正で、研究実施方法が良好であるか
B学生等への指導方法が適切か
C科学研究費補助金等他の競争的資金を取得し、社会的に信頼される研究を遂行しているか
等グローバルかつ多様な視点で行う。採用した全ての若手研究者が本学または他の国内外の大学等先導的研究機関の常勤のポストに就任することを基本とする。
(4)実施期間終了後の取組
終了時以降も、既存ポストや該当の研究院・研究科預かりのポスト等を本システムに振り替えると共に、継続性のある外部資金(学長・部局長裁量経費、間接経費や部局内のオーバーヘッド等)や大学の基金等で、本人材育成システムを計画的に拡大継続する。
(5)期待される波及効果
本学では初年度10名の国際公募を行い、次年度以降は、毎年1名を厳選する。これは、科学技術振興調整費による支援が終了した後も無理のない円滑な導入を念頭としており、本学の自然科学系の研究院・研究科において、テニュア・トラックから常勤の教員への昇任を制度として可能にするための考え方である。「評価・選考委員会」からの意見を基に本システムの充実・拡大を行い、本学における成果が、広く日本全国の自然科学系研究分野での若手研究者育成システムのモデルとなることが期待される。