ごあいさつ -震災から学ぶこと-

総合学生支援センター長 兼 ボランティア活動支援センター長 石井正人

 2016年3月で、東日本大震災から5年が経過しました。
 忘れもしませんが、あの日はちょうど後期試験の前日で、試験場の準備をしていた私達は慌てて建物から飛び出しました。私達の自慢である美しい図書館がまだ工事中で、幸い無事でしたが、クレーンが恐ろしい揺れ方をしていました。研究室に戻ってみれば、床一面に本や書類が散らばり、あの日は余震の収まらないなか交通機関も止まり、とうとう大学で一夜を明かしました。千葉大学でも前期試験で合格した新入生が2名犠牲になりました。あれから5年、図書館はとうに完成し、あの学年も昨年巣立っていきました。しかし、まだ復興は終わっていません。

 2015年9月の緊急災害対策本部の発表では、死者15, 893人、行方不明2, 573人、負傷者6, 152人であり、復興庁の2016年2月の発表によれば、なお避難者17万4千人、仮設住居等への入居者7万6千人になります。千葉県にも2015年1月31日現在で3, 170人の避難者がいます。これらの数字は少しずつ減少してはおりますが、復興庁による2015年10月7日の「震災で親を亡くした子どもへの支援の状況について」によれば、震災で両親とも亡くした震災孤児241人、震災でひとり親となった震災遺児が1, 537人になります。厚生労働省の調査で2014年3月の段階で震災孤児241人、震災遺児1, 524人でしたから、これらの被害は終わらないばかりか、尚、増えてさえいるのです。

 まだまだ , 物心両面の援助が必要とされる現状です。全国社会福祉協議会によれば、2015年にはのべ5万7千人のボランティアが被災地に入りました。

 千葉大学も、震災直後の2011年3月に「千葉大学ボランティア活動支援センター」を設立し、全学を上げ継続的に被災地・被災者に対して支援活動を行い、この足取りを以下の報告書にまとめてきました。

『3.11を想う ―東日本大震災と若者たち- 』(2012年3月)
『平成24年度活動報告 千葉大学ボランティア活動支援センター』(2013年3月)
『平成25年度活動報告 福島は、いま -千葉大生の活動を通して- 』(2014年3月)
『平成26年度活動報告 震災の記憶 ―あれからの被災地、これからの私たち- 』(2015年3月)

 今ここに、引き続き平成27年度活動報告をまとめ、被災地・被災者の支援と、さらにそれ以外のさまざまなボランティア活動の成果を紹介できることを幸せに思います。

 最後に、千葉大学の学生たちに毎年かけがえのない経験と学びの場を与えて下さる皆さまに心から感謝致します。

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