あとがき 学生から学んだこと-より高きを目指す若者達へ-

千葉大学未来医療系事務部長
     (元 学生支援課長)
 菅野 仁

 あの日あなたは何をしていましたか。7年前どこで,何を感じ,何をしましたか。
あなたは覚えていますか,平成23年3月11日14時46分,日本観測史上最大の地震「東日本大震災」があったことを。

 この年の4月1日に私は学生支援課長に着任し,1万人を超える学生の安否確認,被災学生等の支援対策そして被災地復興支援方策を指揮する立場となった。
 安否確認は各部局からメール,電話等々により随時確認状況の報告を整理,被災学生支援策では,授業料の減免,奨学金の給付制度,近隣住民の方のご厚意による無償アパートの提供などの対応に追われる日々の中,千葉大学として被災地の復興支援を如何にすべきか,何をなすべきかを模索していた。唯々,毎日テレビ,新聞等での被災状況の報道,被災された方々の辛く苦しい姿や極寒の避難所でのこの先の生活に対する喪失感,悲痛な思いを伝えられ,その状況を目に写し聴くことしか出来ない自分がいた。
 そんなとき,ボランティア支援センター代表の古谷佳大君の他,堀井美沙さん,塚田祐子さん,安里加菜さん,大関麻里さんなどから,「千葉大は何故何もしないんですか。それでいいんですか。」と投げかけられました。当時学生達有志は,NPO等団体の活動に参加し,毎週のように被災地に出かけ支援を行っていた。瓦礫の片付けなど女性にとっては過酷な作業でも,被災され避難生活を送られている方々のことを思えば,この程度の事は耐えられるし,辛くもないとの事でした。重い荷物を背負い,食料・水,シュラフなどを自分で用意し,交通機関も整備されていない中,ボランティアバスなど利用し被災地に向かい,今自分が出来ることを実行した。
 学生は,「食料も水も寝るところも全て自分たちで用意します。大学には被災地までのバスなど足だけでいいから用意してください。お願いします。」と,大学への明確な支援策の一つを訴えてきた。
 何かをしなければいけないと思いながらも,「瓦礫の片付けはキツイし,食事も寝床もないところに行くなんて無理だな」と,どこか弱腰になっていた自分がいたことを気付かせてくれた。
 学生達の熱い思いを感じ,同年8月第1回千葉大学ボランティア活動が「気仙沼」で行われた。その後,「南三陸」,「南相馬」などにおいて毎年活動が実施された。
 被災地に入る前と活動終了後の学生達の顔が明らかに変わっていたことを忘れることは出来ない。あれだけきつく,辛く,厳しい環境での復興支援活動後の達成感,充実感に満ちあふれた輝く顔を私は忘れない。
 ありがとう。学生諸君。
 第1回から学生達(遠藤加奈さん,子安奈穂さん,小林篤史君,新井祐里さん,林夏菜子さん,秋山光君,田代智也君他にも多くの学生)が絆を繋ぎ,震災を風化させない大きな力となっている。
 継続は力なり。
 学生達から気付かせてくれた一言があったからこそ,学生支援課長として学生目線の重要性や背中を押され一歩踏む出す力を培ったと感じる。。

 また,千葉大学は福島県富岡町の小学校への支援を継続的に行っている。
 富岡町は東日本大震災による福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示区域となり,住まわれていた方々は県内のほか全国に仮住まいを強いられることとなった。
 富岡小学校は震災後(平成23年9月)福島県三春町に仮設校舎(富岡小学校三春校)により再開したものの,1500名程いた児童は仮設移転後67名に激減し,現在は11名の児童のみである。
 当時(平成23年9月),三春町に仮設移転後,富岡第一小学校八島校長(千葉大学教育学部OB)から,大学へ遊具などの支援援助の依頼があったのを期に,運動会など諸活動を学生中心に支援を行った。支援というよりも学生達には「今まで学んだことの実践の場」として,千葉大生としての自覚と社会を学ぶ機会を与える位置付けと捉えて活動を続けてきた。
 年々続けることで,児童からは「今年もあのお兄さん来るの。あのお姉さんと一緒に走って頑張る。」など,千葉大生が来ることを楽しみしてくることが何より嬉しく,そして,児童と学生達との絆が生まれたことが「支援」ではなく,大学としての教育効果の表れと感じるものである。
 全校児童と日帰りでしたが東京ディズニーランドで過ごしたことは,今でも鮮明に記憶しています。学生が自ら企画し数ヶ月に及び小学校・保護者等との調整を行い児童28名に対して学生30名のサポート,更に富岡小学校の先生方のご協力により無事に終了した。園内での子ども達の笑顔,解散後の学生スタッフの感激の涙も忘れることは出来ません。
 移転後からご協力頂いた,根本校長,新井川校長,伏見校長,岩崎校長,渡邉校長,そしてなにより先頭となって学生の指導も頂いた武内先生,鈴木先生に感謝するばかりです。
 富岡小学校との繋がりを継続してくれた,藤本弘之君,木田祐資君,青木薫平君,佐藤由樹さん,金子真大君,森和紀君,佐藤脩平君,川島優花さん,田中智之君,四家鈴菜さん,飯迫奨大君の他にもいっぱい感謝しなければいけない学生達がいます。ありがとう。

 これからも千葉大学は,東日本大震災を忘れず支援を続けていくことでしょう。
一日も早い復興を切に願います。

Copyright (C) Chiba University. All Rights Reserved.