千葉大学サステナビリティレポート2025
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はじめに新ビジョン「YOKOTE VISION」とサステナビリティとの関係と、千葉大学の今後の取り組みについて教えてください。2025 年の国際情勢の変化を踏まえて、千葉大学はどのように方向性を定めていくべきだとお考えですか。学生主体の環境マネジメントシステムの取り組みと社会貢献についてどのようにお考えですか。2025 年5月 14 日、SDGs やサステナビリティへの取り組みなどについて、環境 ISO 学生委員長の古賀貫太が、横手幸太郎学長にインタビューを行いました。編集担当:古賀貫太(法政経学部3年) 千葉大学は師範学校や病院から始まり、150 年以上にわたり千葉の地に貢献してきました。今や学部数は 11 となり、多彩なメンバーがそろっています。生命や医療、そして、地球環境や宇宙環境の研究、さらには生活環境や職場環境など広い意味での環境を含め、千葉大学の強みをそのまま社会につなぎ、持続可能な社会の実現に貢献していくために、「YOKOTE VISION」を策定しました(詳細 p.1)。多様な学部やセンターにおける、環境やサステナビリティに関連した研究や、環境 ISO 学生委員会をはじめとする学生活動、あらゆる人が過ごしやすい環境を作るための千葉大学 DEIB(C-DEIB)推進宣言(詳細 p.6)など、大学がモデルとなって社会に実装していきます。この実現のため、研究・教育・産学連携のさらなる推進を目指し、2025 年4月に「株式会社千葉大学コネクト」という子会社をつくりました(詳細 p.7)。大学の経験を社会に還元し、社会のニーズをより鋭敏に捉えて大学に取り入れるという、社会と大学をつなぐ役割を持っています。 千葉大学は文部科学省の令和 5 年度「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択され、10年後を見据えた様々な取り組みが 2024 年度からスタートしました。例えば、大学と産業界、地域とをつなぐ結節点として、柏の葉キャンパスに「Biohealth open Innovation Hub (BIH)」という新たなオープンイノベーション拠点を2025 年5月に開所しました(詳細 p.5)。新施設では、宇宙環境での植物栽培や、免疫ワクチンと植物研究を融合させ、口から摂取するコメワクチンの研究などユニークな生命・環境科学分野の研究を行っていく予定です。 また、YOKOTE VISION の実現に向けた行動指針の 1 つとして、「より良く生きる」があります。予防医学や社会科学分野には「Well-Being」の研究に取り組む教員もいます。西千葉キャンパスの横の土地を活用して、新しい町と大学をつなぎ、Well-Being を実現できるようなセンターが建てられないかについても青写真を描いています。 アメリカは様々な面において、他国に大きな影響力を与える国です。第二次トランプ政権の政策に関連して、ダイバーシティや SDGs においても影響が懸念されていますし、アメリカの大学において科学技術予算が大幅に削減されたことには驚きました。日本はアメリカとの関係が深いこともあり、日本に影響が及んできたときにどうするか、大学を運営する立場としては慎重に判断しなければならないと考えています。現時点では、ダイバーシティや持続可能性という考え方を維持して、今まで取り組んできたことを大きく変えることなく、将来アメリカが再び変わったときに、日本が先に行っているくらいになればと思っています。 千葉大学環境 ISO 学生委員会の 20 年以上にわたる取り組みは、大学としても非常に大きな意味を持つと思っています。日本は資源が潤沢にあるわけではなく、その点では決して恵まれた国とはいえません。また、環境問題をはじめ、人口減少が止まらないなど、多くの社会的な問題を抱えています。学生自身が問題を認識し、学び、課題解決のために行動する姿勢、そして、企業や自治体と連携して、活動の成果を社会に還元するという点で、こうした学生主体の取り組みはとても重要で千葉大学の誇りです。YOKOTE VISION の中に「信頼」というキーワードがあるように、社会と大学をつないで未来を拓いていくとともに、学生や教職員が千葉大を誇りに思える環境があり、地域の方々が温かく見守っていこうと思える大学であり続けたいと思います。2学長からのメッセージQ1.Q2.Q3.

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