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広報誌ちばだいプレス

大学院社会科学研究院 法学研究部門 公法学講座 後藤 弘子 教授
研究室訪問

千葉大学 大学院社会科学研究院 法学研究部門

公法学講座

社会的弱者が生きやすい
世の中の実現を目指す

後藤 弘子(ごとう・ひろこ)
千葉大学大学院社会科学研究院教授。慶應義塾大学法学部卒業。立教大学法学部助手、富士短期大学・東京富士大学経営学部助教授を経て、2004年4月より現職。NPO法人子どもセンター帆希理事長、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ副理事長。

研究室訪問

千葉大学 大学院社会科学研究院 法学研究部門

公法学講座

社会的弱者が生きやすい
世の中の実現を目指す

大学院社会科学研究院 法学研究部門 公法学講座 後藤 弘子 教授

後藤 弘子(ごとう・ひろこ)
千葉大学大学院社会科学研究院教授。慶應義塾大学法学部卒業。立教大学法学部助手、富士短期大学・東京富士大学経営学部助教授を経て、2004年4月より現職。NPO法人子どもセンター帆希理事長、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ副理事長。

刑事法の研究者として、少年法や性犯罪、ジェンダー問題など、弱者の側に立った教育・研究、さらには法改正に向けた提言にも取り組んでいる後藤弘子教授。
その研究成果や授業の内容などについて話を伺いました。

研究テーマについて
教えてください

私の専門は刑事法で、特にジェンダー問題と少年法の2つを軸に研究を行っています。女性や若年者は社会的に弱い立場で、性犯罪やDV、虐待といった被害が絶えないことが課題になっています。こうした事態は起きないに越したことはありませんが、万一起こってしまったときには、法によって適切な救済が行われるべきです。私は、女性や子どもといった弱い立場の人の声を代弁し、政府や裁判所に聞いてもらえる形にして発信し、世の中をより良くしていくのが自分の役目だと思っています。そのため、法務省の検討会議や内閣府の男女共同参画局の専門委員会などの場で、自分の研究成果に基づいた様々な提言もしています。

講座の授業内容について
教えてください

私が担当している「刑事政策演習」では、そのときどきで社会的な影響力が高かったり話題になったりしているテーマを扱います。また、レポートにまとめて終わりにするのではなく、何らかの形でアウトプットすることも重視しています。例えば、少年院法が2015年に改正されましたが、それに先立ち学生たちが「私たちの少年院法」をつくり、法務省矯正局の係官にも見ていただきました。性犯罪の刑法改正議論が高まった2021年には、学生主導で性的同意に関するアンケートを学内で実施し、報告書に取りまとめました。こうした取り組みを通じて、学生たちには社会的弱者のために法律を役立てるという視点を持ってほしいと思っています。

また、千葉大学は県内唯一のロースクールとして、千葉県弁護士会や千葉地検、地方裁判所、家庭裁判所との連携が強いという強みがあります。憲法週間にはこうした各団体から講師に来ていただいたり、学生がボランティアに参加したりと、法について学びたい学生にとっては良い環境が整っていると思います。

弱者の側に立つという考えの
基礎になっているのは何でしょう

高校時代に母校出身の弁護士さんの話を聞く機会があり、冤罪事件について知りました。私たちは司法が正しいという前提で日々を送っていますが、司法が過ちを犯すこともあると、そのとき初めて意識しました。冤罪に巻き込まれた人というのは、制度が生んだ弱者です。社会的に弱い人の側に立つ仕事に興味を持ったのはこれがきっかけでした。

その影響もあって大学は法学部に進み、そこで女性犯罪というテーマに出会います。3年生でゼミを選ぶ際には、中谷瑾子先生という女性研究者のゼミを取りました。当時は、刑法の分野で女性研究者は少なかったのですが、中谷先生は結婚して子どもを育てながら研究職を続けられていて、ロールモデルとして惹かれたのが理由です。

ちょうど中谷先生が女性犯罪研究会という活動を立ち上げて、女性の被害だけでなく加害についても研究されていました。私もその研究会に関わるなかで、女性が犯罪を起こす心理や社会の仕組みといったことに対する関心が強くなり、それが今の研究につながっています。

アンケート 画像

学生主導で実施した性的同意に関するアンケートは、今後、内閣府や関係機関への政策に活かされることが期待されている

学生へのメッセージを
お願いします

私が担当する普遍科目「ジェンダーを考える」では、ジェンダー問題を通して多様性について学んでいます。他者との違いを優劣ではなく多様性と捉え、お互いに尊重し合えれば、弱者にとっても生きやすい世の中になるはずです。皆さん自身も多様性の一部だということを意識して大学生活を送ってください。