人工股関節全置換術後の骨折予防に新展開?-カラー(襟)付きHAステムの有効性に期待-

2025年10月28日

研究・産学連携

  千葉大学大学院医学研究院の平沢累 特任助教らの研究チームは、船橋整形外科病院の老沼和弘院長らと共同で、人工股関節全置換術(THA)注1)で用いる太ももの骨(大腿骨)のインプラント部分 (ステム)の形状や素材が、術後早期に起こりやすい人工股関節周囲の骨折(POPFF)にどのような影響を及ぼすかを研究しました。その結果、ハイドロキシアパタイト(HA) 注2)という素材で特殊な表面加工をした「カラー(襟)付きHAステム(図1)」は、一般的に使用されている、断面がくさび(ウェッジ)形状で細長い「テーパーウェッジ型ステム」よりも、早期POPFFの発生率を有意に低減する効果があることがわかりました。
 この結果により、骨が弱い人など骨折のリスクが高い患者に対しては、カラー付きHAステムを選択することで、安全なTHA手術の実現にもつながることが期待されます。
 本研究成果は、2025年10月1日に英国学術誌The Bone & Joint Journalで公開されました。

■用語解説
注1) 人工股関節全置換術(THA):傷んだ股関節を人工の関節に置き換える手術。
注2) ハイドロキシアパタイト(HA):骨とよくなじむ特性のある、骨の主成分と同様の素材。


■論文情報
タイトル:Collared fully hydroxyapatite-coated femoral components reduce early periprosthetic femoral fractures in total hip arthroplasty with the direct anterior approach : a matched cohort study

DOI:10.1302/0301-620X.107B10.BJJ-2024-1494.R1

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