病原真菌「アスペルギルスフミガタス」の薬剤耐性化リスク系統の解明 
カビによる難治性疾患の新たな治療戦略に向けて

2024年03月14日

研究・産学連携

 千葉大学真菌医学研究センターの高橋弘喜准教授、筑波大学生命環境系の萩原大祐准教授らの研究チームは、真菌(カビ)感染症である肺アスペルギルス症(注1)を引き起こす菌であるアスペルギルスフミガタス(注2)について、世界最大規模でゲノムデータを統合し、国や地域ごとの菌株の遺伝的特徴や治療中に薬剤耐性化しやすいハイリスク系統の有無、その原因遺伝子座(注3)に関して研究しました。その結果、アスペルギルスフミガタスの遺伝系統には、国や地域ごとの菌株の遺伝的特徴が影響しており、我が国で枝分かれする系統が存在することが分かりました。また、薬剤耐性化に関わる遺伝子座を同定し、ハイリスク系統の特徴の一端を解明しました。
 この結果により、感染菌の系統を評価することで、薬剤耐性化が起こり得るかの予測にもつながることが期待されます。さらに診断に応用されれば、治療中に薬剤耐性化のリスク評価が可能となり、治療方針の先鋭化につながるなど、医療への応用が期待されます。
 本研究成果は、2024年3月14日(現地時間)に、学術誌Communications Biologyで公開されます。

■用語解説
注1)肺アスペルギルス症:アスペルギルス属真菌(カビ)によって起こされる肺感染症。慢性や侵襲性などの病態があり、特に免疫低下時に身近な感染リスクとなる。
注2)アスペルギルスフミガタス:土壌や空気中に普遍的に存在する真菌(カビ)で、我が国の発酵産業で重要な麹菌(アスペルギルスオリゼ)と同属。有機物分解の重要なステップを担っており、地球上の物質循環に貢献している。
注3)遺伝子座:染色体上の遺伝子の位置。アスペルギルスフミガタスは8本の染色体を有しており、約2,700万塩基対で構成されている。