光の強さでナノ材料の形を自在に制御〜次世代の機能性材料開発へ〜

2025年11月18日

研究・産学連携

 千葉大学 国際高等研究基幹の矢貝史樹 教授、東京科学大学の河野正規 教授、自然科学研究機構 生命創成探究センターのクリスチアン・ガンサー 特任助教を中心とするパリ=サクレー大学、理化学研究所、名古屋大学の共同研究チームは、光に反応して形や色が変化する分子「フォトクロミック分子」が自己集合して作られるシート状の構造「二次元ナノシート」に強度を変えて光を照射すると、細いひも状の一次元ナノファイバーや、積み重なった厚い塊である三次元ナノクリスタルなど、全く異なる構造に変化することを発見しました。さらに、この構造変化の様子を、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)注1)を用いてリアルタイムで観察することで、詳細なメカニズムの解明に成功しました。本研究成果は、生体分子のように外部環境の変化に柔軟に適応して形態を変えることのできる、次世代機能性材料の開発に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、Cell Press 社が発行するChemのオンライン版に2025年11月18日(日本時間)に掲載されます。

用語解説
注1)高速AFM:探針で試料の表面を走査し、探針と表面との間に働く力を測定して表面構造を原子スケールの高分解能で観察することができる特殊な顕微鏡(原子間力顕微鏡:AFM)の一種。溶液中で動いている物質をナノメートルの空間分解能とサブ秒という時間分解能で観察することができる。

論文情報
タイトル:Light-intensity-dependent out-of-equilibrium processes toward dimensionally distinct nanopolymorphs
DOI:10.1016/j.chempr.2025.102818

  • 図1. 分子1の化学構造(上)および異なる強度の紫外光照射下で分子1が形成する分子集合体のAFM像(下)