接着する際に「界面に集まるアミン」の謎を解明
~強い接着のカギは酸塩基相互作用にあった~

2026年02月12日

研究・産学連携

 千葉大学大学院工学研究院の宮前孝行教授と大学院融合理工学府博士前期課程2年の小堀薫平氏、名古屋工業大学物理工学類の尾形修司教授、神戸製鋼所の山本慎太郎氏、高橋佑輔博士らの研究チームは、アルミニウムと樹脂の接着性を改善する機能膜として用いられるシランカップリング剤による表面処理について、新たな接着の仕組みを明らかにしました。
 研究ではシランカップリング剤で処理した材料表面に存在する水酸基と、エポキシ接着剤に含まれるアミン系硬化剤との間に働く「酸と塩基の相互作用」注1)が、接着性を高める重要な要因であることを、明らかにしました。さらに、シランカップリング剤に含まれる水酸基のルイス酸性度の違いに注目し、実験と理論シミュレーションを組み合わせることで、分子レベルで強い接着を生み出す、これまで見過ごされてきた界面での相互作用を発見しました。
 この成果により、自動車や航空機で進められている異なる材料同士を接合する技術において、接着の長期安定性や信頼性を高めるための新たな指針が示されました。今後は、より高性能な接着剤や表面処理技術の開発につながるとともに、さまざまな産業分野への応用が期待されます。
 本研究成果は、2026年1月26日に、英国学術誌RSC Applied Interfacesにオンライン掲載され、Journal Outside back coverに選ばれました。

■用語解説
注1)酸と塩基の相互作用:電子対を受け取る「ルイス酸」と、電子対を供与する「ルイス塩基」が、接着剤(接着層)と被着材(表面)の界面で結合を形成する化学的吸着メカニズム。この相互作用は、分子軌道理論(LUMOとHOMOの相互作用)で説明され、物理的な分子間力よりも強力な界面相互作用を生み出す。

■論文情報
タイトル:Adhesion Strength of Aluminium Surfaces Coated with Silane Coupling Protective Layers via Acid-Base Interactions
著者:Kumpei Kobori, Shuji Ogata, Shintaro Yamamoto, Yusuke Takahashi, Takayuki Miyamae
雑誌名:RSC Applied Interfaces
DOI10.1039/D5LF00336A

  • 図1 4種類の異なる溶媒をOTS、BTSE、TMOSで処理したアルミニウム表面に接触させた時のスペクトルの様子。

    図1 4種類の異なる溶媒をOTS、BTSE、TMOSで処理したアルミニウム表面に接触させた時のスペクトルの様子。