SARS-CoV-2のゲノム合成に対するRNA損傷の影響を解明~酸化ストレスはウイルス複製の障害か、それとも変異の原動力か?~
2025年05月01日
研究・産学連携
千葉大学大学院理学研究院の佐々彰准教授と同大融合理工学府博士後期課程2年の赤川真崇氏は、神戸大学バイオシグナル総合研究センターの菅澤 薫教授との共同研究で、活性酸素種(ROS)によるRNAの損傷が、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)のゲノムRNAの複製反応を妨げ、突然変異を引き起こすメカニズムを世界で初めて解明しました。
本研究により、酸化ストレスはSARS-CoV-2のゲノムRNA複製を妨げる障害要因であると同時に、変異を促進する要因にもなり得ることが示唆されました。本研究は、RNAの酸化がSARS-CoV-2のゲノム変異を引き起こすメカニズムを明確に示した初めての報告であり、RNAウイルスの変異予測や新たな抗ウイルス治療法の開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は、米国科学雑誌Journal of Biological Chemistryにて4月16日に公開されました。
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SARS-CoV-2のRNA合成と酸化損傷