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古在学長から 新年のご挨拶

掲載日:2008/01/07

みなさん、明けましておめでとうございます。お正月休みは、皆様それぞれのスタイルで、有意義に過ごされたかと思います。昨年は、日本また世界で色々な事件が起きました。今年はより良い年であって欲しいと願っています。

今年1月2日には、ニューヨーク商業取引所の原油先物価格が1バレル100ドルの値をつけたというニュースが流れました。これを受けて、1月4日の東京株式市場の日経平均株価は前年末比765円安となり、1万5千円を割り込みました。原油価格が値上がりすれば、それに連動して諸物価が値上がりし、また石油代替燃料としてのバイオエタノールの生産量が増えます。そして、バイオエタノール生産量をてっとり早く増やすために、トウモロコシとサトウキビの耕地面積が増やされます。耕地面積を増やすために、南米の森林を切り開き、またダイズなどの作付面積を減らすことになります。前者は環境破壊に、後者は豆類や家畜飼料の不足に伴う価格上昇につながります。ガソリンに比べてCO2排出量が少ないバイオエタノールの生産量が増えることを喜んでばかりはいられないのです。このように、私たちは、環境問題、エネルギー・資源問題、食料問題、政治経済問題を、グローバル、ナショナルかつローカルに、つまりグローナカルに俯瞰する視野が求められています。
今年の7月には、北海道洞爺湖でG8サミット(主要国首脳会議)が開催され、21世紀の大問題である地球温暖化問題などが議論されます。千葉大学としても教育ならびに基礎研究に加えて、これらの地球規模的問題の解決に可能な限り貢献すべきであろうと思います。 他方、今年4月、国立大学は法人化5年目を迎えます。昨年末から、「暫定評価」のための実績報告書の作成が始まりました。次いで、「第2期中期目標・中期計画」の策定作業に取りかかることになります。教職員が一致協力にしてこれらの作業を、目的意識を明確にして、成し遂げることが、平成22年度から始まる国立大学法人第2期をより良い状態で迎える必要条件になりますので、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

さて、年頭に当たり、昨年1年間の千葉大学の動きを少しだけ振り返ってみたいと思います。
組織に関しては、自然科学研究科が4つの研究科に分割されて、それぞれが部局化しました。他方、産学連携・知的財産機構の活動が目覚ましく、一例として、亥鼻キャンパスのイノベーションプラザの活動が11月に開始されました。また、予防医学センターが設置されました。さらに、国際化の指針が制定され、中国の清華大学、上海交通大学などとの大学間協力協定が締結されました。また千葉大学中国校友会が設立されました。
教育プログラム改善に関しては、17件の競争的資金(平成19?21年度の各約6億円)を獲得しました。総合校舎、教育学部校舎などの大型改修が夏から行われ、学習環境の改善が続いています。なお、年末には平成20年度概算要求の内示があり、教育学部1号館および文学部・法経学部の建物の大型改修が認められることになるようです。他方、高大連携が一段と進みました。また、平成19年度の外部研究資金の獲得額は65億円となり、過去3年間で40%増えました。今述べた他にも数多くの教育研究環境の改善がなされました。 その他、千葉大学SEEDS基金への募金活動が開始されました。また、環境ISO14001の全キャンパスにおける認定が2月になされ、今年も引き続き認定が更新されることになりそうです。環境ISO活動を含めて、学生の自主的活動が増え、それに大学が呼応して学生支援を強化しました。11月には千葉大学ロボット憲章が制定されました。他にも多くの改善が行われました。教職員の皆様の献身的な活動に心から感謝申し上げます。

千葉大学の改革・改善は今年も引き続き行われなければなりません。そして、最も確実に実行しなければいけないのは意識改革だと思います。大学の理念・目標に部局・個人の目標を出来る限り重ねて、「つねに、より高きものをめざして」、毎日の仕事を行うことが重要だと思います。4年前までながらく国家公務員だった期間に形成された意識を捨てて、将来への理念・目標にもとづく行動を心がけたいと思います。
今年4月以降の具体的方針や体制は新執行部が決めることになりますが、素晴らしいものになると期待しています。そこで、新年を迎えて、千葉大学は今後何を目指して進むべきなのかについて、やや抽象的、長期的観点から以下に述べてみたいと思います。

未来志向型大学 Visionary University 千葉大学は、大学憲章の理念と目標、ならびに千葉大学のモットーである「つねに、より高きものをめざして」に基づき、世界の「いま」を生きる英知を磨きながら進化し、過去を未来につなげ、未来世代の生命の輝きに貢献していく、目的意識が強く底力のある人材の育成に挑戦し続ける、《未来志向型大学》をめざしたいと思います。

領域横断型大学 Transdisciplinary University 千葉大学は、9学部、9大学院組織、11研究センターからなる大規模総合大学であることを活かして、現代社会の抱える公共的・学術的課題に、環境・健康・ケアをキーワードとして、領域横断的・領域創造的に貢献していく、《領域横断型大学》をめざしたいと思います。21世紀における地球温暖化、貧困・格差社会、エネルギー・資源、組織のフラット化・ネットワーク化などの問題を解決して持続的福祉社会を実現するには、領域横断的な教育研究・国際貢献が不可欠です。

グロ-ナカル・ユニバーシティー Glonacal University 千葉大学は、成田国際空港のある千葉県に位置する首都圏の地方国立大学であることを活かして、グローナカルな視点から、地域的、国内的、国際的および地球的課題に重層的かつ双方向的に挑戦する、《グロ-ナカル・ユニバーシティー》をめざしたいと思います。 「グローナカル」は、グローバル(地球的)、ナショナル(国・国民的)、ローカル(地域的)からなる合成語です。「グローカル(グローバル+ローカル)」でなく、「ナショナル」を加えたのは、第一に、法律や制度などの社会システムの大半が現実には国単位で定められているので、グローバルな視点から一足飛びにローカルで活動するのは困難なことが多いからです。第二に、国境のある国々を繋ぐインターナショナル (international, 国際) を意識するためです。他方、グローバルは、インターネットの世界のように、ボーダレス(borderless)な概念であり、国境を意識させません。したがって、national, international, global の視点はおのずから異なってきます。また、「重層的かつ双方向的」とあるのは、地域で行動する際に、地域を基点として国と地球を貫いている共通性と多様性に注意し、同時に、地球を基点として国と地域を貫いている共通性と多様性に注意しつつ活動すること、さらには、国および国際(国境を隔てた国々)を基点として地域と地球の共通性と多様性を配慮する必要性を示しています。 21世紀には、心身の健康および幸福感と生きがいを増すことにより人々の生活の質を向上させ、持続的福祉社会を実現する仕組みを構築し、まずは大学のキャンパスおよび周辺の地域社会において、これを実現することが重要になります。この仕組みの構築と実現にはグローナカルな視点が必須となると考えられます。

多様性を調和的に活かした大学 Harmonized University with Rich Diversity 千葉大学は、多様な学生と教職員が、内発的な知的交流を通じて個性と教養を互いに磨き上げつつ、全体として調和ある持続的福祉社会を進化的(evolutionary)に実現するために協働する、《多様性を調和的に活かした大学》をめざします。「多様性を活かす」ことは、21世紀における人間社会あるいは地球上の種々の生態系の調和的、持続的進化のためのキーワードになります。具体的には、留学生、社会人学生、女性教員、外国人教員、障害を持つ教職員・学生、民間人登用、再雇用職員の増加による多様性の確保ならびにその多様性を活かした調和的進化と組織改革さらには学問創造が期待されます。

緑が豊かで快適なキャンパスを有する大学 University with Eco-amenity Campus 千葉大学は、学生・教職員の自発的学習ならびに基礎的・応用的な研究・地域貢献活動を、《緑が豊かで快適なキャンパス》で行うことをめざします。

千葉大学は、千葉県はもとより、全国に、そして世界に、情報発信し、同時に、多様な意見を受け入れつつ、"つねに、より高きものをめざして"いきたいと思います。また、私たち教職員は、学生、地域・卒業生・全国・世界の方々に親しまれ、頼りにされ、さらには、一目おかれる存在でありたいと思います。そのために、私たちは、つねに理想を高くもち、日々の仕事に励み、また楽しく学び合うことによって、私たちとその隣人の人生を真に豊かにすることを生きがいとして感じたいと思います。 最後に、教職員ならびにご家族の皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。以上、簡単ではありますが、年頭のご挨拶とさせていただきます。

平成20年1月7日

千葉大学長
古在豊樹