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平成23年(2011年)年頭の挨拶(1/4)

掲載日:2011/01/05

年頭の挨拶  皆様 明けましておめでとうございます。

お天気に恵まれ、よいお正月をお迎えになられましたことと存じます。旧年中は公私ともども大変お世話様になり感謝申し上げますとともに、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、大学にとって今年はどのような年であってほしいかと問われましたら、教員職員が大学本来の教育研究を十分に行える環境で活躍ができ、その結果として優秀な人材を輩出できる成果を生み出したい、ということに尽きるのではないでしょうか。

昨年末、政府予算案について発表がありました。科学研究費補助金をはじめとして、大学関係予算は当初の予想より好転したといえるかもしれません。本学が概算要求した項目もいくつか採択されており、計画はある程度進められる状況と考えております。

しかし、採択されなかった項目や、減額の項目について今後対策が必要であります。このような予算編成を考えるとき、ひとつは国家予算の問題があります。国の財源そのものの問題もありますが、その予算の意味をどのように考えるかということも大きな問題です。そのために、大学がどうあらねばならないかということも含め、本学からも皆様の大変なご努力により教職員、学生の声を数多く、パブコメというかたちで国へ届けました。それは確かに大きな力であったと思います。予算の編成に影響を与えました。

一連の動きの中で私も何人かの政治家へのお願いもいたしました。いろいろな政治家がおられます。中には"研究などする大学は全国で2、3校あればいいのであって、あとはつぶすか専門学校でいいんだ"などという政治家にも会いました。こっけいな話と一笑に付すには国民に選ばれた議員という存在を考えますと恐ろしい気がします。簡単に無視することはできないのかもしれません。

来年度の予算編成の比較的大型化ということが、大学への異常な負荷をかけてくる前兆と考えられないこともありません。非常に短期的な成果を求められることを考えなければならないかもしれません。こころせねばなりません。既に機能分化というキーワードはよく用いられ、改革を要求されています。しかし我々はこのような現実的な対応もさることながら、我々の大学本来の姿への姿勢も示していかなければならないと思います。

一方、有力な政治家の中にこのようなご意見もありました。"もう押し合いへし合いをするような予算の分捕りは今年だけにしてほしい"といわれ"財政改革も含め抜本的にその配分を考えていきたい"という声は救われるような思いでした。"本来大学はどうあらねばならないか"という基本をお互いに共有して、そのために"何をせねばならないか"、そして"そのためにどのような予算が必要か"というわれわれの声に応える政策であってほしいし、われわれも自らの大学の求める方向を"正確に見定めて"、"要求できる"、"国民を十分に納得させる"力を保持しなければならないとつくづく感じました。

昨年末には "大学改革シンポジウム"を開催して、われわれの未来の大学構造について話し合いました。いろいろな意見があり、すばらしい人材により大学が運営されていることを改めて認識するとともに、この力を何とかして、未来のすぐれた大学の創造のために集約したいと思いました。

まず、われわれは未来に向かって限りない夢を描くことであり、その夢について十分に語り合うことであり、そしてその夢の実現のために今できることが何であるかを現実に語ることであり、それは単に現実との妥協ではなく、現実の問題を夢に向かってどのように克服できるかという視点であらねばと思います。人材育成ひとつをとっても、今できている現実の人材育成と、夢として描く人材育成とにギャップがあるとしたら、それが何ゆえにあり、どうあらねばならないか、われわれは何ができる大学かを議論して、理想実現への道筋を描く努力が必要なことをシンポジウムは示していたように思いました。

学生にも多く参加がありましたことはうれしいことのひとつでした。学生も私によく声をかけてくれます。あるとき"講義が面白くないんですけど"といってくれた学生がいました。"どう面白くないの"と聞きますと"いつもその講義を聞いて感動がないんですよ"といいました。難しい問題と思いますが、しかし学生の要求する気持ちには間違いはないと思います。われわれが、大学としても何を大切にしているかを問われているような思いがしました。シンポジウムでも申し上げましたが、教育のレベルを上げるには高い研究成果を生むことが大切であると思います。一人ひとりのご努力は十分に理解しているつもりですが、さらに大学としてこのようなことの大切さを共有する文化を持つようにしたいと思います。

今年度、経営戦略室という部署を立ち上げることをお約束しました。
大学にとって経営という言葉はなじまないように見えますが、しかし色々な機能を円滑に、効率的に運営していくために、経営という概念は重要であると思います。

単に財源について検討するだけではなく、外部資金を獲得するために、研究をどのように集約していけばいいのかということがあります。時には複合領域を形成して、研究費の申請をするということをコーディネートする機能も必要かもしれません。すぐれた論文を生むためにはいかに複合領域を作るかであり、その構成員はヘテロな集団であることが重要であるとされています。そしてその働き手の中心は博士課程、あるいはポスドクの人たちであるということをどのように考えるか、またどのような環境を作っていくかという経営戦略が求められるでしょう。

 産業界との連携には寄附講座の設置ということもありますが、この促進も必要かもしれません。共同研究も大学全体としてとらえることも必要です。千葉大学サイエンスパークセンターの活躍は期待したいところです。また海外との連携を財源として考えることも必要と思います。

さらにこのような研究、連携を進めるためには人材の確保は必須です。従来の教職員の定年という仕組みは、その背景として、若い世代に譲る、医学的な問題、等を理由に設けられていたように思われます。しかし、今そうでしょうか。若い世代の減少、医学の進歩による活動出来る年齢の高齢化など昔とは異なった状況にあり、画一的な定年というのではなく、十分に研究費を獲得できる、あるいはすぐれた研究、教育をさらに継続していただきたい方には、積極的に大学で働いていただくというシステムを考えることが必要かもしれません。さらに、功績に対しては一定のインセンティブという考え方も必要かもしれません。 以上のようなことを含めて、いろいろな改革の持つ財政的意味について検討していただくということを考えています。

年々国際化もいろいろな分野で発展しています。
国際化も重要な課題です。国際化を考えるとき、国内を考えざるを得ません。我々の大学にとって、優秀な留学生をとるという命題は正しいと思います。しかし、どのようにして実際何人の留学生をどの国から受け入れるかという問題があります。広く国際的に交流するということは、ひとつの国に偏った受け入れではないということですし、国内の学生と留学生の比率をどのようにするかということも解決しなければなりません。そして、国際的に通用する入試制度を構築しなければなりません。本学の教育のポリシーそのものであるかもしれません。今後綿密なシステムの構築が必要に思われます。

新年を迎え、いろいろ申し上げましたが、とにかく楽しい日々を送ることをまず第一にしてほしいと思いますし、その楽しさを享受する精神から、いろいろなことに積極的に取り組んでいってほしいと思います。
以上、新年にあたってのご挨拶とさせていただきます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

平成23年1月4日
国立大学法人千葉大学
学長 齋藤 康