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卒業生の皆さんへ

掲載日:2015/03/23

年頭の挨拶

  皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご出席いただきましたご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。千葉大学の教職員を代表し、心からお祝い申し上げますとともに、ご臨席賜りました皆様に御礼申し上げます。


  卒業生の皆さん、千葉大学で将来の夢を描くことが出来ましたか。学生生活は充実したものにすることが出来たでしょうか。きっとたくさんの友人や楽しい思い出を作られたことと思います。大学時代の友人や思い出は、皆さんの生涯の大切な宝物となることでしょう。教職員一同も、皆さんとともに過ごすことができた日々を誇りに思っています。


  千葉大学は、「つねに、より高きものをめざして」、真に広い視野をもって何事にも誠実に取り組む人材の育成を目指しています。そして皆さんは、この千葉大学の人材育成目標にそって勉学に励まれ、かつ様々な努力をされてきました。また、ご自身の専門性を磨かれ、精神的にも大きく成長されたことと思います。社会に出てからも、千葉大学で学び培ったことを基にして、更なる成長を目指すとともに、社会のリーダーとして皆さんの描いた夢を実現してほしいと願っています。


  今日の世界は、全ての面でグローバル化が著しく加速しています。そのため、皆さんが社会から求められる能力も多様性を増してきています。このような地球規模のグローバル化は、すでに15世紀末にヨーロッパを中心として始まっています。航海技術の進歩や羅針盤の発明などがこの時のグローバル化の推進役でした。その時代に求められたリーダー像は、功名心や冒険心に富んだリーダーシップのある方だったのではないかと思います。


  日本では、飛鳥時代に始まった遣隋使などがグローバル化の走りだとすると、江戸時代の鎖国政策から解き放たれた明治時代がグローバル化の本格的な始まりと言えるでしょう。この時代のグローバル化に求められたリーダー像は、世界における日本の立場を理解し、柔軟な発想のもとに西欧化にむけて改革を断行するリーダーシップのある方だったのではないでしょうか。

  現在の日本は、航空や海運の航路増大、情報通信技術の発達により新たなグローバル化の時代を迎えています。このような時代に求められるリーダー像は、他国の文化、社会システム、生活習慣や歴史を理解し、真に広い視野をもって何事にも誠実に取り組む、思いやりに富んだリーダーシップのある方ではないでしょうか。そして、いつの時代のリーダーにも共通して求められるのは、深い知性を身に着けていることではないでしょうか。

  私は、これまで皆さんに、千葉大学で将来の夢を描くようにとお願いしてきました。その理由は、リーダーとして必須の「深い知性」を身に付ける努力をしてほしかったからです。「物事の本質を知り、創造的に考える能力」である「知性」は、「答えの無い問い」を問い続けるという努力により磨かれます。自分の将来の夢は何かという問いも「答えの無い問い」ですので、皆さんが将来の夢を探す過程で知性が磨かれます。皆さんが社会に出れば、このような「答えの無い問い」に向き合うことが今よりも多くなると思います。これからも答えが無いからといって、決して諦めずに問い続けることにより、ご自身の知性を磨き、深めていってください。

  私は、これまでにも皆さんに、高等学校までの「答えのある問いに、間違いなく、かついかに早く解答をだすか」という「知能を高める」努力よりも、「答えの無い問い」と向き合って「知性を深める」努力をするようにとお話してきました。それでは、これから皆さんが活躍する社会では、「物事を理解したり、判断したりする能力」である「知能」を高める努力は、必要ないのでしょうか。

  「知能」は「知性」と異なり、私たち霊長類に先天的に備わっている能力です。そして、私たち現代人であるホモ・サピエンス種が今から約20万年前に直立原人であるホモ・エレクトゥス種から進化したときに、より優れた知能を授かりました。そのためホモ・サピエンスは、この優れた知能を活用することにより、経験から得られた知識を蓄積し、教育により次代へ継承し、日常生活に応用することにより、今日の繁栄を築いてきました。しかし、この優れた知能は、先天的に備わっている能力なので、発育過程では努力により多少高まりますが、成長して脳細胞の発育が止まると一定となります。ところが「創造的に考える能力」である「知性」は、後天的に獲得されていく能力なので、皆さんの努力により生涯にわたり磨かれ、深まっていきます。

  この知能と知性を、私たちの体の身長と体重に例えると分かりやすいでしょう。皆さんは、自分の身長をコントロールすることはできませんが、体重はコントロールすることができます。すなわち、知能は身長と同じように先天的なもので、成人になると伸びは止まりますが、知性は体重のように生涯にわたり変動するものなのです。自分の身長にあった体重に体をシェイプ・アップするように、自分の「知能」を駆使して知性を磨き続けることにより、初めてリーダーとしての活動が可能になるのです。そして、活動しやすい体重を絶えず維持し続けるように、知性も絶えず磨き続けなければなりません。

  皆さんには、これから色々な方面での活躍が大いに期待されています。しかし、皆さんが活躍しようとする社会は決して平坦ではありません。特に日本の社会は、これまでに人類が経験したことのない少子高齢化に突入します。この厳しい状況の中にあっても、千葉大学で学び培ったことを最大限に活用して、皆さんの夢の実現方法を絶えず自己に問い続けることにより、ご自身の知性を磨き続けるとともに、社会のリーダーとして活躍されることを願っています。

  皆さんとともに学んだ教職員も、皆さんの活躍を期待しています。そして、千葉大学はこれからも、皆さんを応援し続けます。

  皆さんには是非これからも、千葉大学の同窓生として、千葉大学を、そして後に続く後輩たちを、応援していただきますようお願い致します。

  最後に、卒業生の皆さんが、千葉大学で学んだことに自信と誇りを持って、大きく飛躍し、多方面で活躍されることを心より祈念し、私の告辞といたします。本日は、ご卒業おめでとうございます。

平成27年3月23日
千葉大学長 徳久剛史