特色ある研究活動の成果
Research

構造用集成材を用いた建築構造物の耐火性能

構造用集成材を用いた建築構造物の耐火性能

写真1 火災加熱を受けたスギ柱が座屈破壊した様子

平島 岳夫教授

平島 岳夫

Hirashima Takeo

大学院工学研究院 教授

専門分野:建築構造、耐火工学

1996年に千葉大学大学院工学研究科・建築学専攻を修了。2003年に東京大学・大学院工学系研究科で博士(工学)を取得。フジタ技術研究所研究員(1996-2001)、千葉大学助教(2001-2006)、同准教授(2006-2015)を経て、2015年より現職。2009年に「鋼構造およびRC構造の火災時変形挙動に関する一連の研究」で日本火災学会内田奨励賞を受賞。

どのような研究内容か?

 木質構造の柱や梁が火災時に何時間持ちこたえられるか、大断面の構造用集成材を用いた耐火実験とその数値解析を行い、その予測解析ツールを開発しています。写真1は、スギ材による柱が火災加熱と荷重を受けて座屈して破壊した様子です。座屈とは、細長い柱が圧縮力を受けて折れ曲げる現象です。木造の柱が火熱に曝されると、燃焼しながら表面から炭化が進行し、断面がやせ細り座屈しやすくなります。木質構造の柱と梁を対象に、火災時における木材表面の炭化の進行、内部温度の上昇、それによる強度と剛性の低下を実験によって把握し、火災時における変形挙動と破壊時間を数値解析で予測します。(写真1・2、図1・2)

何の役に立つ研究なのか?

 日本の森林は少子高齢化の状況にあります。収穫時期の木材を伐採し、そこに若い木を植えていかないと、次世代に森林資源を残せません。国産材を有効利用するための取り組みが必要です。その1つが大規模建物の木造化ですが、そこで問題となるのが火災時の安全性です。本研究では、大規模建物に木質構造を適用できるよう、その耐火性能に関わる設計方法の構築を目指しています。持続可能な社会の実現と環境問題に対して、不燃構造から木質構造への移行はその解決策の1つであり、本研究がその一助になればと思います。

今後の計画は?

 スギ・カラマツを用いた構造用集成材の柱と梁については、火災時の破壊時間を予測する解析ツールを開発しました。現在、その柱と梁の接合部の耐火性を研究しております。柱と梁が健全でも、その前に接合部が壊れると、建物の倒壊につながります。そのため接合部を含む木質構造フレームの耐火実験を行い、その接合部の破壊メカニズムを解明し、火災時に耐えうる接合方法を提案する予定です。

関連ウェブサイトへのリンクURL

https://researchmap.jp/read0071161

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

論文
Fire performance, including the cooling phase, of structural glued laminated timber beams, H. Kinjo, T. Hirashima, et al., Journal of Structural Fire Engineering, Vol. 7, Issue 4, 349- 364, 2016

Deflection behavior and load-bearing period Fire performance of structural glued laminated timber beams in fire including the cooling phase, H. Kinjo, T. Hirashima, et al., Journal of Structural Fire Engineering, Vol. 9, Issue 4, pp.287-299, 2018

火災加熱を受けるスギ・カラマツ構造用集成材柱の座屈耐力および破壊時間,五十嵐樹,石井俊吾,山下平祐,馬場重彰,染谷朝幸,平島岳夫,日本建築学会構造系論文集,第85巻,第770号,2020

写真2 火災実験後の柱の切断面

図1 90分の火災加熱を受けた450mm角断面スギ柱の変形挙動

図2 柱の断面内温度分布の予測(90分加熱)