特色ある研究活動の成果
Research

日本と韓国でツツジの新種を発見

日本と韓国でツツジの新種を発見

研究代表者
渡辺 洋一
共同研究者
①氏名、②フリガナ、③ローマ字表記、④所属部局名、⑤職名、⑥専門分野
①南谷 忠志、②ミナミタニ タダシ、③Minamitani Tadashi、④宮崎県
①Oh Sang-Hun、②オウ サンハン、④Daejeon University
①永野 惇、②ナガノ アツシ、③Nagano Atsushi、④龍谷大学
①阿部 晴恵、②アベ ハルエ、③Abe Harue、④新潟大学
①遊川 知久、②ユカワ トモヒサ、③Yukawa Tomohisa、④国立科学博物館

コメツツジの仲間の遺伝的な関係

図.コメツツジの仲間の遺伝的な関係

渡辺 洋一特任助教

渡辺 洋一

Watanabe Yoichi

園芸学研究科 特任助教

専門分野:森林科学

2011年 名古屋大学 大学院生命農学研究科 博士前期課程 修了。2014年 同 博士後期課程 修了(博士 農学)。2014年 日本学術振興会 特別研究員。2015年 千葉大学 大学院園芸学研究科 特任研究員。2017年 千葉大学 大学院園芸学研究科 特任助教

どのような研究内容か?

 花が美しく多くの園芸植物が作出されているツツジ属は、野生種の数が多い特徴もあります。その数は1,000種を超えるとも言われ、その数は北半球に生育する木本(樹木)の中でトップレベルの数です。日本は世界的に見てもツツジの野生種の数が多いことで知られ、園芸植物で知られるサツキを始め多くの野生種が存在します。私たちの研究グループは、このツツジ属の中で見逃されていた新種を発見しました。
 ニシノコメツツジと名付けられたこの植物は、紀伊半島から九州の太平洋側、そして朝鮮半島南部の山岳上部にのみ見られます。コメツツジの仲間は樹高が1m以下の小さな木で、花の蕾が白く、まさに米粒のような見た目をしていることから名付けられています。形態調査とDNAを用いた解析を行うことで、西日本の個体は他とは明らかに異なることを発見しました。さらに、この新種には3つの地域ごとに異なるタイプが存在することも確認し、紀伊半島から四国に分布するものは「ニシノコメツツジ, Rhododendron sohayakiense var. sohayakiense」、九州に分布するものは「ツクシコメツツジ, Rhododendron sohayakiense var. kiusianum」、韓国南部に分布するものは「チョウセンコメツツジ, Rhododendron sohayakiense var. koreanum」の3変種として発表しました。

何の役に立つ研究なのか?

 日本は生物多様性の高い地域ですが、その生物相は未だ未解明な部分も多く残っています。このような未知を解明することは、遺伝資源とも呼ばれる生物多様性の今後の利用や世界遺産に代表されるような素晴らしい自然環境を効率的に保全するための基礎知識となります。この新種のように山の頂上部に生育する植物は、温暖化が進んでしまうと逃げ場がなくなるため消失してしまう危険性が高く、今後の保全に注意が必要です。

今後の計画は?

 この新種群が実際にどのように温暖化によるリスクを含むのか把握するために、遺伝解析を主として生存の歴史を復元することを行っています。遺伝解析から過去を知ることで将来の脆弱性を評価する一助となります。

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

・Yoichi W, Minamitani T, Oh S-H, Nagano AJ, Abe H, Yukawa T (2019) New taxa of Rhododendron tschonoskii alliance (Ericaceae) from East Asia. PhytoKeys 134: 97-114
 この成果は、学術誌「phytokeys」にて出版された後、千葉大学・新潟大学の共同でプレスリリースを公表しました。その後、多くの研究機関や報道機関に興味を持っていただきました。特に、毎日新聞の宮崎県版および朝日新聞の全国版にて紹介していただき多くの方に興味関心を持っていただいています。

学生や若手研究者へのメッセージ

 日本列島は同じ緯度に位置するヨーロッパなどと比べとても生物多様性の高い地域で、その恩恵を多く受けています。しかし、その事実を理解していない人は意外と多いです。その理由の1つは日本の外を見ていないことにあります。学生はぜひ日本の外から日本を見る機会を積極的に持ってください。
 日本では種の絶滅に伴う生物多様性の損失のリスクは未だに高い状況にあります。日本の素晴らしい生物多様性を次世代に引き継ぐためには次世代の研究者の活躍が必要です。次世代の方には、「見る」「知る」という知的好奇心を持つことを心がけてほしいと思います。新しい世界が次々と開きます。

その他

 この研究は文部科学省および日本学術振興会が交付する科学研究費助成事業により行われました。