特色ある研究活動の成果
Research

看護学教育におけるFDマザーマップの開発

看護学教育におけるFDマザーマップの開発

研究代表者
和住 淑子(千葉大学大学院看護学研究科教授)

共同研究者
①吉本 照子 ②ヨシモト テルコ ③Teruko Yoshimoto ④看護学研究科 ⑤教授   ⑥地域看護システム管理、管理者の人材開発)
①野地 有子 ②ノジ アリコ ③Ariko Noji ④看護学研究科 ⑤教授 ⑥看護学
①黒田 久美子 ②クロダ クミコ  ③Kumiko Kuroda ④看護学研究科 ⑤准教授 慢性疾患看護学、看護ケア開発、看護継続教育、看護継続教育、看護管理学
①錢 淑君 ②セン シュククン ③Shu-Chun Chien ④看護学研究科 ⑤准教授 ⑥ITナーシングの開発、個別生活スタイルに基づく看護支援
①赤沼 智子 ②アカヌマ トモコ ③Tomoko Akanuma  ④看護学研究科 ⑤講師 ⑥在宅看護)
①鈴木 友子 ②スズキ トモコ ③Tomoko Suzuki ④看護学研究科 ⑤特任助教 ⑥健康増進、一次予防
※ ①氏名、②フリガナ、③ローマ字表記、④所属部局名、⑤職名、⑥専門分野

図5 East Asian Forum of Nursing Scholars International Conference(EAFONS)での発表ポスター

和住 淑子教授

和住 淑子

Wazumi Yoshiko

千葉大学大学院看護学研究科教授

専門分野:看護行政・政策、看護高等教育政策、理論看護学

千葉県生まれ。1988年千葉大学看護学部卒業後、看護師として千葉県救急医療センターで働く。1996年千葉大学大学院看護学研究科博士後期課程修了、博士(看護学)取得。同年4月から母校の千葉大学看護学部基礎看護学教育研究分野で教育・研究に従事した。2005年から3年間、文部科学省高等教育局医学教育課看護教育専門官として、看護高等教育行政に従事。2008年より千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センター准教授を経て、2010年より教授。

どのような研究内容か?

医療の高度化に伴い、日本の看護学教育は専修学校での教育から大学教育への移行が急速に進み、常に看護系大学の教員は不足しています。大学の看護学教育では、看護職としての実務能力の獲得と学問の修得の両立が求められますが、実務能力の高い教員は大学教育を受けていないことがあり、大学教育を受けている若手教員は実務経験が不足している、といった課題を抱える大学が多い現状です。
千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センターは、平成 22年、文部科学大臣より「看護学教育研究共同利用拠点」として、看護学教育の分野では唯一の共同利用拠点の認定を受けました。この「拠点」の活動の一つとして、平成23年度から5か年計画で「看護学教育におけるFDマザーマップの開発と大学間共同活用の促進」の研究に取り組んでいます。
本研究の目的は各看護系大学が、看護学教育の特質を踏まえた有効なFD(faculty development,教員の資質を開発すること)を計画的に企画・実施・評価できるよう支援することにあります。この目的を達成するため以下の目標を掲げました。
1 高等教育における看護学教育の特質を踏まえた体系的なFDマザーマップおよびFDプランニング支援データベースを開発する。
2 FDマザーマップのコアバリューを明確にしたFDコンテンツ開発を行う。また、コンテンツ開発を通じてFD企画担当者(ファカルティ・ディベロッパー)養成および大学間共同活用体制を構築する。
本研究の主な成果は以下の通りです。

看護学教育におけるFDマザーマップの開発
FDマザーマップは看護系大学の教員が備えるべき能力を体系的に示した見取り図です。能力は「基盤」、「教育」、「研究」、「社会貢献」、「運営」に区分し、それぞれに具体的能力を示しています(図1)。各能力は、レベルⅠ「知る」、レベルⅡ「自立してできる」、レベルⅢ「支援・指導、拡大できる」で示しています(図2)。本マップは自大学のFDニーズ分析や、教員が自らのFDを計画する際などに活用することができます。

FDコンテンツの開発
コンテンツは「FDマザーマップ紹介コンテンツ」、「FD企画者向けコンテンツ」、「FDマザーマップ対応型教材」があり、それぞれ冊子やビデオ教材、研修事業などがあります(図3)。複数の大学で開発を行うことにより大学間共同活用体制が構築され、また一つの課題を深く考察することにより、開発に係った教員のFDを推進することができました。

FDプランニング支援データベースの開発
データベースにはFDマザーマップやFDコンテンツ、また各看護系大学が実施したFD企画を記録する「FD実績表」を掲載しており、各大学がFDを企画する際の参考にできます(図4)。
FDプランニング支援データベース

看護系大学におけるFDマザーマップの活用
依頼を受け20大学にFDに関する講師派遣を行いました。また研修事業やデータベース等を通じて159大学の教員がFDマザーマップを活用しています。

何の役に立つ研究なのか?

新設の続く看護系大学の管理者(学部長や学科長など)がFDマザーマップを活用して自大学の教員組織の特性を分析することによって、教員の能力開発を計画的、系統的に行うことができるようになります。また、管理者ではない個々の教員も、FDマザーマップを活用して、自身の看護職として、看護系大学教員としてのキャリア開発計画を立てることができます。その結果、少子高齢社会において必要とされる、より質の高い看護師が育成される、という波及効果があります。また、共同利用拠点として本センターを多くの看護系大学や施設が利用することにより、今まで自大学のみで抱えていた課題などが共有でき、ともに考え、切磋琢磨することにより、大学間連携による看護学教育のさらなる発展が期待できます。

今後の計画は?

平成28年度は新事業を立ち上げ、FDマザーマップを活用した看護系大学教育における継続的質改善モデルの開発・実施に取り組みます。

関連ウェブサイトへのリンクURL

FDプランニング支援データベース

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

17th East Asian Forum of Nursing Scholars International Conference で研究成果をポスター発表し、このポスターはBEST POSTER AWARD を受賞しました(図5)。

図1 FDマザーマップの開発全体構成

図2 5つのマップの基本構成

図3 FDコンテンツ(例)FDマザーマップによる自己「診断」

図4 FDプランニング支援データベース