特色ある研究活動の成果
Research

35歳以上で初めて子育てをするお母さんには出産後にどのような看護支援が必要か?

35歳以上で初めて子育てをするお母さんには出産後にどのような看護支援が必要か?

①氏名、②フリガナ、③ローマ字表記、④所属部局名、⑤職名、⑥専門分野
①坂上 明子、②サカジョウ アキコ、③Akiko Sakajo ④看護学研究科、⑤准教授、⑥母性看護学、リプロダクティブヘルス看護学
①前原 邦江、②マエハラ クニエ、③Kunie Maehara ④看護学研究科、⑤特任准教授、⑥母性看護学、リプロダクティブヘルス看護学
①岩田 裕子、②イワタ ヒロコ、③Hiroko Iwata ④看護学研究科、⑤特任准教授、⑥母性看護学、リプロダクティブヘルス看護学
①小澤 治美、②オザワ ハルミ、③Harumi Ozawa ④看護学研究科、⑤助教、⑥母性看護学、リプロダクティブヘルス看護学
①青木 恭子、②アオキ キョウコ、③Kyoko Aoki ④看護学研究科、⑤助教、⑥母性看護学、リプロダクティブヘルス看護学

研究参加者募集用ポスター
これは、本研究プロジェクトの大規模調査の研究参加者募集時のポスターです。関東、関西の年間800件以上の分娩がある分娩施設で掲示して募集しました。

森 恵美教授

森 恵美

Mori Emi

千葉大学大学院看護学研究科教授

神奈川県出身。千葉大学看護学部卒業後、総合母子保健センター付属愛育病院に助産師として6年間勤務。1989年千葉大学大学院看護学研究科を修了し、日本赤十字看護大学助手に就任。1993年に千葉大学看護学部助教授として着任。1994年に博士(医学)を取得。2000年より千葉大学教授、2006年より両立支援企画室長。2007~2009年3月まで千葉大学看護学部長。現在、副理事、男女共同参画推進部門長。2010年10月文部科学省科学研究費補助金審査委員の表彰を受ける。2011~2014年3月まで、内閣府の先端研究助成基金助成金(最先端・次世代研究開発支援プログラム:NEXTプログラム)「日本の高年初産婦に特化した子育て支援ガイドラインの開発」を実施。NEXTライフ・イノベーション・ポスターセッション銅賞表彰。第55回日本母性衛生学会会長(2014年、幕張メッセ)。2011年より日本母性看護学会理事長。

どのような研究内容か?

母子ともに大きな異常のない約3,600人のお母さんの協力を得て(募集用ポスター参照)、施設に入院中から産後6か月間に亘って追跡調査をしました。35歳で初めて出産したお母さん(高年初産婦:専門用語)が他のお母さんと比べて、疲労、身体症状、産後のうつ症状、母親としての自信や満足感、母乳栄養率に違いがあるのか等を明らかにしました(図参照)。これに加えて、国内外の研究成果を系統的かつ網羅的に集め、産後1か月までの子育て支援の研究成果を総体化して、世界初の高年初産婦に特化した子育て支援のための看護のガイドライン(全268頁)を開発しました。(ガイドライン表紙参照)

何の役に立つ研究なのか?

このガイドラインは、産後1か月間において、助産師、保健師、看護師が日本人の高年初産婦さん一人ひとりに適した子育て支援をすることに役に立ちます。(研修用DVDの場面写真参照)

今後の計画は?

現在、このガイドラインの有効性を検証しています。今後は、ガイドラインの改訂をするとともに、妊娠期にさかのぼり、高年初産婦さんとその夫向けの新たな看護方法を開発したいと考えています。

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

高年初産婦に特化した産後1か月までの子育て支援ガイドライン
・Mori E, Iwata H, Sakajo A, etal : Postpartum experiences of older Japanese primiparas during the first month after childbirth.International Journal of Nursing Practice.20(Suppl. 1), 20-31, 2014.
・Mori E, Maehara K, Iwata H, etal : Comparing older and younger Japanese primiparae: Fatigue, depression and biomarkers of stress. International Journal of Nursing Practice, 21 (Suppl. 1), 10-20, 2015.

他20件

この研究の「強み」は?

約3,600人の大規模追跡調査とシスティマティックレビューによって多くの新知見(上記、公表論文20件以上)が産出され、高年初産婦の産後の身体的・心理社会的適応の特徴と子育て支援ニーズが浮き彫りになり、世界で初めて「産後1か月間までの高年初産婦に特化した子育て支援のための看護のガイドライン」を開発できたことです。

研究への意気込みは?

日本にとっての喫緊の社会的課題や現場のニーズに合致したガイドラインが開発され、私たちの研究成果によって看護の質向上に貢献することができましたことは、大きな喜びであり誇りです。ライフワークとしてさらに研究を深め、看護職者の実践に科学的根拠を与え、妊娠出産子育てを支援していきたいと思います。

学生や若手研究者へのメッセージ

看護学研究者は魅力的でやりがいがある専門職です。また、このような看護学の研究活動や研究成果の伝達を通して人材育成も同時にしています。研究者としてのキャリアを蓄積することと妊娠出産子育ての両立も先輩研究者として応援しています。関心のある方、是非、私たちに声をかけていただけますか。

EPDSを用いた看護実践モデル場面(研修用DVDより)
開発されたガイドラインに従った、産後うつ病予防のための看護実践のモデル場面です。日本版のエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)を用いて、産後入院中に産後うつ病予防のために行う看護実践の研修用に作成したDVDより写真を提示しました。

ガイドラインの表紙
本研究プロジェクトによって開発した「産後1か月間までの高年初産婦に特化した子育て支援のための看護のガイドライン」(A4判:全268頁)の表紙です。本ガイドラインは、公益財団法人日本医療機能評価機構の診療ガイドラインの評価選定を行う専門部会において、作成方法の観点から質の高いガイドラインとして評価選定されました。

左図:産後入院中の疲労に関する4群比較
右図:産後1か月における母親としての自信に関する4群比較