特色ある研究活動の成果
Research

高齢者の在宅見守りロボットの開発と社会実装における倫理的課題

高齢者の在宅見守りロボットの開発と社会実装における倫理的課題

研究代表者諏訪 さゆり

共同研究者①氏名、②フリガナ、③ローマ字表記、④所属部局名、⑤職名、⑥専門分野
①辻村 真由子、②ツジムラ マユコ、③TSUJIMURA MAYUKO、④看護学研究科、⑤准教授、⑥訪問看護学
①石丸 美奈、②イシマル ミナ、③ISHIMARU MINA、④看護学研究科、⑤准教授、⑥地域看護学
①兪 文偉、②ユ ブンイ、③YU WENWEI、④フロンティア医工学センター、⑤教授、⑥生体医工学 医用ロボティクス
①高橋絵里香②タカハシ エリカ、③TAKAHASHI ERIKA、④文学部、⑤准教授、⑥福祉人類学、老年人類学、医療人類学

図1 2016年に実施した「介護者から求められる在宅見守りロボットの機能の明確化と実現可能性の検討-要介護高齢者の権利擁護と看護学、ロボット工学の観点から-」において調査票の開発過程について国際学会で発表した際のポスター(一部)

諏訪 さゆり教授

諏訪 さゆり

SUWA SAYURI

千葉大学大学院看護学研究科教授

専門分野:認知症ケア 訪問看護学 臨床倫理学

学歴
1988年 千葉大学看護学部 卒業
1988~1990年 千葉大学大学院看護学研究科修士課程(現・博士前期課程)修了
1991~1994年 東京大学大学院医学系研究科博士課程保健学専攻 修了

職歴
1990~1991年 東京共済病院看護部
1994~1995年 東京医科歯科大学医学部保健衛生学科 成人看護学 助手
1995~2001年 東京女子医科大学看護学部 老人看護学 講師
2001~2010年 社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター 主任研修主幹
2010年~ 千葉大学大学院看護学研究科 訪問看護学領域 教授

どのような研究内容か?

 私たちは、2016年から「介護者から求められる在宅見守りロボットの機能の明確化と実現可能性の検討-要介護高齢者の権利擁護と看護学、ロボット工学の観点から-」という研究に着手しました。この研究では、自宅で暮らす在宅要介護高齢者、家族介護者、在宅ケア専門職のニーズに即した在宅介護ロボットを開発するため、これらの対象者の在宅介護ロボットについての認識を明らかにすること、さらに倫理的配慮を適切かつ十分に行うことが必要となる在宅介護ロボット実証研究に関する認識をも明らかにすることを目的としています。A県内の在宅要介護高齢者、家族介護者、在宅ケア専門職、およそ4500名の対象者に、郵送法を用いて自記式無記名の調査を実施しました。
 さらに、これらについて国際共同研究を実施することで、歴史や文化、社会保障制度、高齢化状況が異なる各国の特徴が明らかになり、これからの高齢者介護がどうあるべきかについて考えを深めることができると考え、私たちは2017年から、千葉大学の協定校であるアイルランド国立大学ダブリン校(UCD)、セイナヨキ応用科学大学(フィンランド)の研究者とともに国際共同研究に取り組んでいます。

何の役に立つ研究なのか?

 「在宅介護ロボット」とは、「形状はさまざまですが、高齢者とその周囲を感知し見守る機能や、双方向で会話ができるコミュニケーション機能などの高齢者と介護者の支援機能を持っている機器、システムの総称」です。この研究の知見を活用することで、ロボットに搭載する機能にはどのようなプライバシー保護が求められるのか、いかなるリスクを避けるべきかなども明確になり、実際に高齢者が使用する際の留意点を導出できると考えています。研究参加に関心の高い高齢者たちの特徴も明らかになり、研究に参加する高齢者の尊厳を守りながら研究を推進していくことが可能になります。

今後の計画は?

 今後は、フランスやスペイン、韓国など、高齢化対策に関心の高い国々との国際共同研究を展開していきます。そのため、社会科学高等研究院(フランス)、セリビア大学(スペイン)、梨花女子大学(韓国)の研究者らと国際共同研究に向けて話し合いを進めています。

関連ウェブサイトへのリンクURL

https://www.n.chiba-u.jp/visiting-nursing/index.html

成果を客観的に示す論文や新聞等での掲載の紹介

・Suwa S, Tsujimura M, Ishimaru M, Shimamura A, Ide H, Yu W, Kodate N: How do people perceive home-care robots? A questionnaire study with the elderly, family caregivers, and care professionals in Japan.65th Annual and Scientific Meeting of the Irish Gerontological Society, Age and Aging,46(Supplement 3),iii5,2017.
・Tsujimura M, Suwa S, Ishimaru M, Shimamura A, Ide H, Yu W, Kodate N:Developing a questionnaire to understand perceptions towards home-care robots among the elderly who receive home-care, family caregivers, and home-care professionals.65th Annual and Scientific Meeting of the Irish Gerontological Society, Age and Aging,46(Supplement 3),iii23,2017.

この研究の「強み」は?

 すべての研究者が重要視しなければならない研究倫理について、学問領域が異なる研究者がチームとなり、お互いの研究力の強みを生かして取り組んでいることが強みです。

研究への意気込みは?

 地球規模の高齢化に研究倫理の観点で研究者として貢献できるよう、研究チーム全員でがんばっています。

学生や若手研究者へのメッセージ

 高齢になると、誰もが生活機能が低下していき、何らかの障害を有するようになります。超高齢社会において意義のある研究に取り組んでいくために、研究倫理についてしっかり学び、研究対象者・参加者の意思を尊重し、研究によるリスクを真摯に予測・対応することを目指しましょう。

図2 在宅見守りロボットの例

図3 2018年5月にセイナヨキ応用科学大学(フィンランド)で開催した日本、フィンランド、アイルランドの3か国の研究者によるリサーチミーティング~3か国の歴史や文化、高齢者施策を提示しあい、調査票の開発を行いました。~

図4 2018年5月にセイナヨキ応用科学大学(フィンランド)で開催した日本、フィンランド、アイルランドの3か国の研究者によるリサーチセミナー(看護学研究科教授 諏訪さゆり)~日本の認知症ケアの現状と今後の課題などについて、報告しました。~