学科(専攻)・科目の種別等

法経学部
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授業コード A122A2701 科目コード A122A27
授業の方法   単位数 4
期別 通期 曜日・時限 金3
授業科目

経済学説史

History of Political Economy
担当教員 野澤 敏治
履修年次/セメスター 2〜4年生
受講対象 自学部他学科(自研究科他専攻)  
他学部(他研究科)
科目等履修生
概要 市場経済とはなにか、それを経済学史的に検討する。ヨーロッパにおける18世紀の古典経済学・自由主義から、19世紀のスミス批判とマルクス経済学をへて、20世紀のケインズ等の現代資本主義論まで、そのエッセンスを講義する。日本の経済学をも展望する。
目的・目標 学説をその時代のなかで理解することによって、今日の日本を取りまく社会経済状況を捉えるのに示唆がえられる。経済学で使われている術語や命題、法則をその本源にさかのぼって検討することで、先人の学説が後代に思いがけない形で生きることを知る。経済学が扱う内容は通例のマルクス経済学や近代経済学で固められるものでなく、もっと豊かにあることを、また、人間性と公共、自然を組みいれたものであることを理解できる。経済学史の学習は専門分野を学習する際の入門となるとともに、専門を進めた学習者に対しても経済学のなんたるかを改めて知ることができる。
授業計画・授業内容 1 開講にあたって 経済学説史の超テーマと方法
2 スチュアートによる「最初の経済学体系」
  重商主義とは何か 上からの近代化によって貿易差額黒字を求める商工業偏重の政策と学説
  スチュアート『経済学原理』の貨幣的経済理論 停滞経済を活性化する消費、信用、財政
3 ケネーの再生産論
  農業軽視のコルヴェールティズム批判 レッセ・フェールの最初の提唱者
  農業王国の展望と「経済表」における一国経済循環の仕組み
4 スミスの自然的自由論
  道徳哲学から成立した経済学 スミスは「(神の)見えざる手」の自由放任論者ではない
  イギリス重商主義植民帝国批判とアメリカの独立 自由貿易論の嘘と本当
  『国富論』の理論 分業論から資本投下の自然的順序論まで
5 スミス批判のはじまり
  仁愛と利潤を両立させる工場経営 オーエン
  生活と福祉の立場からの経済学 シスモンディ
  発展段階の歴史派経済学、自由貿易は強者の論理 リスト
6 前期のまとめ 
7 リカードの投下労働価値論と所得分配論
  資本主義下での恐慌の発生と穀物法をめぐるマルサスとの論争
  『原理』の理論 「収穫逓減の法則」と限界原理、資本蓄積と所得分配、「定常社会」
8 マルクスの近代資本主義認識
  初期マルクスにおける経済学研究への歩み 疎外論と物象化論
  中期マルクスにおける近代資本主義のダイナミズムへの注目
  後期マルクスにおける『資本論』の理論 労働の本質・剰余価値の生産・資本蓄積と雇用・自由時間論
9 20世紀資本主義論
  バーリ=ミーンズ 株式会社の発展、配当と経営者報酬の分離、自由市場から寡占市場へ、管理価格の成立
  ケインズ 金本位制からの離脱と管理通貨、『一般理論』の流動性選好・利子論と有効需要論
  ホブソン 帝国的膨張批判と社会改良
10 日本経済学の成立
11 後期のまとめ

 質問を歓迎する。重要と思われる質問については次回の講義の時に紹介し、説明する。
 授業外の学習では教科書で指示した部分や配布した資料を参考にして予習・復習をする。
教科書・参考書 参考書:野沢敏治『経済学史と対話する』御茶の水書房、2008年
他の参考文献は適宜指示する。
評価方法・基準 前期・後期に論述の期末テストを行い、各50パーセントとする。テストでは授業内容を知識的に理解できたかを50パーセント、どれだけこれまでの偏見を克服できたか・あるいは現在の経済問題と関連させることができたかを50パーセントとする。
備考 歴史・経済理論のどの科目でも既に受講していることが望ましい。