研究成果・活動報告
Research & Activities

第4回 移民難民スタディーズ研究会 案内

第4回 移民難民スタディーズ研究会 案内

日本企業と外国人労働者

日時:10月29日(木)10:00~12:00
オンラインZoom 会議

■「千葉県印旛地域における中古部品貿易業者の集積とアフガニスタン人コミュニティの形成」
福田友子(千葉大学国際学術研究院)

概要

日本は難民認定の基準が厳しく、認定率が低いことで有名である。難民申請希望者は、あえて望みの薄い難民申請はしない。それに代わる選択肢が、企業経営者向けの「経営・管理」と従業員向けの「技術・人文知識・国際業務」という在留資格である。千葉県印旛地域に集住するアフガニスタン人は、民族的・言語的・宗教的マイノリティでもあることから、「準難民」の傾向が強いが、ビジネスに成功した人々が多く、比較的裕福な移民である。本発表は、千葉県の特徴ともいえる、在日アフガニスタン人のコミュニティ形成が、アフガニスタン紛争や中東の宗派対立といった国際政治の影響を受けて生じた事象であることを論じる。

■「移民難民研究・移動する人々を社会科学のなかでどのように位置付けるか」
酒井啓子(千葉大学社会科学研究院)

報告

酒井が専門にしてきた学問は、イラクの地域研究である。地域研究は、当該地域の実態を解明することに力点をおき、その解明のために必要なさまざまな理論と方法論を用いる。1991年の湾岸戦争以降、イラクでは国内外の難民の急増が喫緊の課題となったが、それ以前から過去半世紀にわたり地方から都市への移動が国内の社会問題を形成してきた。「人の移動」を扱う学問は、それのみ切り離して論ずるべきではなく、その背景にある関連する諸学問分野、特に紛争研究や体制論などと連関しながら議論されるべきであろう。酒井が今のイラク研究に最も必要であると考えるのは現在進行中の路上抗議運動の分析だが、それもまたexit(逃げる人々)とパラレルに発せられるvoiceとして論じられる。今回の報告では、途上国、特に紛争国を包括的に把握するための非欧米の政治学の枠組みを「模索」する。

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