あとがき -学生の主体的継続的な取り組みに期待する-

ピアサポート室長 教育学部教授 長澤成次

 今年の3月11日で東日本大震災から丸5年である。復興庁のデータによれば平成28年2月12日現在で、全国で約17万4000人の方が避難している。岩手県22131人、宮城県47106人、福島県55321人で、東北全体では133032人に及ぶ。福島第一原発事故が及ぼした影響は現在でも深刻であって福島県の非難者数がそのことを物語っている。

 私自身は、災害報道に必ずといってよいほど出てくる公民館のことを研究テーマにしている。日本社会教育学会では継続して「東日本大震災と社会教育」に取り組んでいるが、「社会教育における防災教育のグローバル化」というテーマで共同研究を今年度から始めつつあり、昨年は岩手県大船渡市を調査した。復旧・復興は、少しずつ進んでいるとはいえ、まだまだ更地を前にして、道半ばの感が強い。

 このような中、この5年間、千葉大学のボランティアセンターの学生スタッフたちの活動には目をみはるものがあったといえよう。東北への暖かいまなざし、特に福島の富岡小学校への継続的な支援活動には敬意を表したいと思う。

 2011年の春、千葉大学の門をくぐり期待に胸をふくらませて学生時代を過ごすはずであった新入生二人が東日本大震災によって尊い生命を奪われている。関連死を含めると20000人を超える犠牲者を出し続けている今回の震災にあって、亡くなられた方の思いをどう引き継いでいくのかは、私たちに課せられた大切な課題であるように思う。

 これからも、ボランティア活動を通して自らの生き方と学問研究への問題意識を研ぎ澄ませて、さまざまな課題に取り組んでほしいと思います。

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